期待のヤクルト新人トリオが猛練習。凡事徹底と個性を磨き激アピール (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Kyodo News

 濱田太貴(明豊高校→ドラフト4位/19歳/外野手)は高卒1年目からファームで規定打席に到達。105試合に出場し、打率.254、8本塁打を記録した。今シーズンについて、「自分としてはもうちょっといけたんじゃないか......」と振り返った。濱田の魅力はフルスイングで、高校時代は通算45本塁打を記録した。

「まずは高校時代のスイングでスタートしましたが、試合に出ると三振ばかりで......。コーチの方たちは『今は強いスイングをしていれば大丈夫だよ』と言ってくださったのですが、自分のスイングばかりしていたらボールに当たらない。そこで気づいたことは常にノートに書きとめ、わからなくなった時にそのノートを見て、いい形を取り戻せるようにしました。そのことで強いスイングでボールをとらえられるようになってきました」

 松元ユウイチ打撃コーチは、濱田について次のように語る。

「まず野球センスがあります。相手のことを観察できますし、19歳ではなかなかできないことだと思います」

 松山キャンプでも、コーチからアドバイスを受けた濱田がノートに書き込んでいる姿を何度も見た。

 シーズン終盤には一軍の舞台も経験。プロ初安打はかなわず(2試合に出場し、5打数無安打3三振)、濱田は「自分のレベルがまだまだ低いことを実感しました」と唇を噛んだ。

「一軍の投手はコントロールもキレも本当にすごくて、1打席のなかで打てるボールが1球あるかないかでした。巨人の山口(俊)さんのようなエース級の投手になると、チャンスボールはありませんでした。フェニックスと松山キャンプでは、その経験も踏まえて、コンパクトでありながら力強いスイングで遠くに飛ばし、逆方向にも打てるように。そういう意識を持って練習しています」

 中山翔太(法政大→ドラフト2位/23歳/外野手)は一軍で35試合に出場を果たし、打率.289、5本塁打と、まずまずの結果を残してシーズンを終えた。愛称は「きんにくん」。大好きな"筋トレ"でつくり上げた体が由来で、今はその省略形の「きんちゃん」と呼ばれている。

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