元阪神・林威助が危惧する台湾野球。
アメリカ志向と投手陣の弱体化

  • 阿佐智●文 text by Asa Satoshi
  • photo by Asa Satoshi

「日本の選手は基礎がしっかりしているじゃないですか。だから、大谷(翔平)くんや佐々木(朗希)くんといった怪物が出てくるんです。台湾にもそういう選手が出てきてほしいですね。やっぱりピッチャーがよくならないと、打者のレベルも上がらない。日本代表と試合をしていい投手と対戦すると、『すごい球を投げるな』とか、『そんな打ち方じゃダメだ』ってわかるんです。いまのところ台湾のなかではそういうピッチャーと対戦できていない。まずはピッチャーの強化が最優先ですね」

 指導者として歩みを始めたばかりの林だが、このオフに台湾で開催されているウインターリーグで台湾プロ選抜チームを率いている。チャンスがあれば、ゆくゆくは代表チームのコーチをしてみたいと語る。

「いま台湾では素質のある投手は、みんなアメリカや日本に行ってしまいます。そういうピッチャーをどうやって台湾に残して育てていくかが課題です。とにかく自分たちで選手を育てていきたいですね」

 林が指導する台湾チームが、侍ジャパンの前に立ちはだかる日が来るのは、そう遠いことではないかもしれない。

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