プレミア12で確立された稲葉Jカラー。あの負けた試合が転機になった (2ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • photo by Getty Images

 そうした戦いを可能にしたのは、「継投に絶対的な自信があるから」(金子ヘッドコーチ)だ。投手陣を預かる建山義紀コーチも手応えを感じている。

「リリーフ陣、とくにうしろの3人(甲斐野央、山本由伸、山崎康晃)がしっかりしているので、継投に踏み切りやすかったというのはありました。この大会を見て全体的に感じたことは、フォアボールから失点するケースが多いということ。その点、日本はフォアボールが少なく、しかも三振が取れるピッチャーが3枚揃っている。これは国際大会を戦う上で非常に強みになります」

 だからこそ稲葉監督は迷うことなく貪欲に1点を取りにいけた。そしてその指揮官の期待に、選手たちも全力で応えた。試合後、優勝決定の際に流した涙の理由を問われた稲葉監督はこう語った。

「選手たちは本当に粘り強く戦ってくれました。しっかりフォアボールを選んだり、慣れないバントもしっかり決めてくれたり、チームのために全力でプレーしてくれた。それにテツ(山田哲人)と浅村は慣れないファーストを守ってくれたし、トノ(外崎修汰)もいろんなポジションをこなしてくれた。ピッチャーだって、いつもは先発をやっている選手が中継ぎにまわってくれたり......。みんなが世界一になるために一生懸命やってくれた。そこにこみ上げてくるものがありました」

 そして次なる目標は、来年開催される東京五輪での金メダルだ。金子ヘッドコーチは「今回のメンバーがベースになる」とした上で、次のように語る。

「選手のコンディションが最優先になると思うのですが、今回、みんなと一緒に戦って、結束力が生まれたのは間違いないと思います。雰囲気もそうだし、すごくいいチームになれた。オリンピックの時もこういうチームをまたつくりたいですね、という話は監督をはじめほかのコーチの方としました。これまで稲葉監督はいろんな選手を見てきたと思いますが、やはりこれまで一緒に戦ってきた選手が軸になると思います」

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