異色右腕・松本直晃のトライアウト。来年父になる男の「夢の続き」 (3ページ目)

  • 井上幸太●文 text by Inoue Kota
  • photo by Nishida Taisuke

 打者3人をノーヒットに抑えた松本は、登板後をこう振り返った。

「最初はものすごく緊張してしまって。投球練習では1球もストライクが入らなくて。『これやばいな』と思いました(苦笑)。もうちょっと真っすぐで空振りを取れる場面があればとは思ったんですが、ゾーンには投げられて、変化球でもカウントを取れた。緊張はしましたけど、シーズンと変わらず投げられたかな、と」

 対戦のなかで、新たな手応えを得た場面もあった。松本が続ける。

「今年は全体的にスライダーの曲がりがよくなくて、今日は少しカット気味に投げてみたんです。かなり曲がりを小さくして、その分スピードが上がりました。中日の近藤選手に対して投げた最後の球がカットボールだったんですけど、思いどおりの反応が取れて、手応えはありました」

 今後についてはNPB球団からのオファーを最優先に待つ意向を明かし、「来年1月に妻が出産予定なので、野球に区切りをつけることも含めて、相談しながら決めたい」と付け加えた。

 思わぬ投手転向からプロへの道を切り開いた右腕に、"夢"のような時間の続きは用意されるのか----。トライアウトで深めた「まだできる」の思いを胸に、吉報を待つ。

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