トライアウトで高木勇人が10球に込めた思い「死ぬまで引退しない」 (2ページ目)

  • 井上幸太●文 text by Inoue Kota
  • photo by Nishida Taisuke

 今季の一軍登板は、わずか2試合。マウンドに飢えていただけでなく、自身の能力を最大限に引き出してくれた捕手の存在も高木の高揚感を加速させた。

「キャッチャーの杉山(翔太)が自分のことをすごくわかってくれたというか、『もうスライダーだけでいいですか?』みたいな感じで(笑)。すごく投げやすい環境をつくってくれて。野球人として見てくれているんだと思えて、うれしかったですね。今までは対戦しかしていなかったのに、自分のいい部分を引き出してくれようとしてくれて、投げやすかったです。いいキャッチャーだなと思いました」

 山田大樹(前楽天)から見逃し三振を奪ったものの、森越祐人(前阪神)に四球を与え、山川晃司(前ヤクルト)には右前打を浴びた。

 決して手放しで喜べる内容ではなかったが、その結果を不必要に飾ることはしなかった。

「結果に満足しているというよりも、この時期に野球ができることが楽しかった。今日の結果で来年続けられる、続けらないとか、そういうのはわからないですけど。体も元気ですし、自分自身ではしっかりできると思っています」

 そして、噛みしめるようにこう繰り返した。

「結果としては悪かったかもしれませんが、あの10球に詰まっていたと思います」

 今後はNPBでの現役続行を第1希望に据えながら、海外も含めて幅広くオファーを待つ意向だと明かした。

「全然、引退するつもりはないので、自分の生きる道をこれから探していこうかなと思っています。日本でやりたい気持ちは強く持っていて、優先順位はNPBが一番。でも、野球は全世界どこでもやっている。自分は野球を追い求めていきたいと思っています」

 最後は茶目っ気のある笑みを浮かべながら、こう付け加えた。

「もし、西武がまた獲るといったら行くかもしれないですし(笑)。可能性としてはありますよね。(渡辺久信)GMに言っておいてください。高木が西武に戻りたいと言っているって(笑)」

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