楽天の台湾プロ野球・ラミゴ買収であらためて思い出したい先人の言葉 (3ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Kouchi
  • photo by Kyodo News

「台湾の選手はみんな気持ちが優しい。叱って『なにくそ!』って頑張る者は少なく、多くの人はシュンとなってしまう。それでは伝わるものも伝わらない。たとえ、こちらが年長者とはいえ、見下したような接し方ではダメ。選手らのところまで下りていって、一緒に上がっていく。そんな指導をしないと、こちらの選手は伸びない」

 そしてこう続けた。

「要するに、愛情です。僕ら日本人指導者は、いつか日本に帰る。その時、僕らがいなくなっても、野球への姿勢や身につけた技術がなくならないように指導すること。それがほかの国からやってくる指導者の本当の役目だと思うんです」

 2009年、81歳で鬼籍に入った山根さんだが、今でも兄弟のみならず、台湾の球界関係者の多くは、彼に感謝していると聞く。

 指導と球団経営は次元が異なる。それでも台湾球団に新たな形で「日本人の手」が加わることに間違いはない。10年後、20年後......多くのファンに支持され、「あの時、楽天が来てくれてよかった」と思われることを願いたい。

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