ロッテは若手有望株多し。ドラフト指名は
抑え、正捕手、左の大砲候補だ

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

チーム事情から見るドラフト戦略~ロッテ編

 ロッテのファームは、着々と"若い芽"が育っている。投手なら、土肥星也が9勝をマークして防御率2.35と二軍でエース格の働きを見せた。ルーキーの小島和哉は4勝、防御率1.85、同じくルーキーの中村稔弥も6勝、防御率2.65と健闘した。

 さらに、原嵩(しゅう/専大松戸出身)とルーキー・古谷拓郎(習志野出身)の"千葉コンビ"も飛躍の兆しを見せている。4年目の原は54イニングで58三振を奪い、古谷は先発として6勝を挙げた。

U-18のW杯で獅子奮迅の活躍を見せた創志学園・西純矢U-18のW杯で獅子奮迅の活躍を見せた創志学園・西純矢 野手も、安田尚憲がほぼフル出場して打率.258ながら19本塁打をマーク。今シーズン、一軍で36本塁打を放った同期の村上宗隆(ヤクルト)に刺激を受け、「来年こそはオレが!」の思いも強いだろう。

 また、1年目の今季は木製バットに苦心した藤原恭大"伸びしろ"を期待してもいいだろう。打率.227とプロの洗礼を浴びたが、16盗塁を記録し、刺されたのは3回だけ。7月に開催されたフレッシュ・オールスターで連続して2盗、3盗を決めたスピードはすばらしかった。あの足は間違いなく武器になる。

"浦和のロッテ"は悪くない。なんとかしたいのは"幕張のロッテ"の方だろう。今年、シーズン終盤まで3位争いを繰り広げたが、楽天を差し切れず3位。とくに試合終盤、中継ぎ、抑えが辛抱できずにゲームを落とした場面が目立ったように思う。チームのセーブ数「29」がそれを如実に物語っている。もちろん、リーグ最少である。

 ここ数年の戦いを見ても、守護神・益田直也ひとりに負担がかかっているように思うし、西野勇士も故障を抱えながら頑張っているが、どう見ても盤石ではない。ここにひとりでも力になってくれる生きのいい若者がほしい。

 筆頭は、西純矢(創志学園)だ。高校生だが、ボールの質、勢いは間違いない。なにより、度胸がすばらしい。U18で見せた"ここ一番"での意気に感じた時の気迫は圧巻だった。信用されて、持ち場を与えられた者の気概に満ちていた。高校生投手の完成度の高さでは奥川恭伸(星稜)の評価が高いが、西だって負けていない。単独指名もありだと思う。

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