楽天がCSで「割り切った攻撃」。平石イズム浸透で戦う集団になった (3ページ目)

  • 田口元義●文 text by Taguchi Genki
  • photo by Kyodo News

 楽天は3試合で10得点を挙げたが、うち本塁打による得点が6点で、すべてがソロ。タイムリーはたったの2本だった。とはいえ、ソフトバンクも3試合で挙げた11得点のうち本塁打が6本で8得点、タイムリーが3本。小谷野コーチが「なかなか点を取れないピッチャーが多いなか、本当に粘り強く我慢強く対応してくれました」と打線をねぎらったように、数字の上ではほぼ互角だった。

 しかも、外野にテラス席が設けられているヤフオクドームは「ホームランが出やすい球場」としても知られている。その敵地で相手のお株を奪う一発攻勢を演じられたのは、腹をくくり、勇気を持ち、割り切って攻めたからだ。

 CSファーストステージ1勝2敗。下剋上は道半ばで途絶えた。

 だが、昨年の最下位から一時は首位に立ち、3位でレギュラーシーズンを終えたことだけでも、今年の楽天は十分に評価できる。

平石監督も、「戦う集団」として日々成熟していったチームに目じりを下げる。

「『戦う集団に』と口で言うのは簡単ですけどね、試合に出ている選手もベンチにいる選手も含め、『そうならないといけない』というところからスタートして、シーズン中は苦しい時期もありましたけど、終盤はとくにそういう姿勢を出してくれてね。ひと回りもふた回りも成長してくれましたし、CSでもその気持ちを出してくれたと思います」

 監督を含め首脳陣は、「この経験を必ず来年に生かさないといけいない」と口を揃えた。平石監督が築き、固めた「戦う集団」。来季、7年ぶりの戴冠を勝ち取るために、その気概、覇気を消してはならない。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る