引退覚悟の筒香嘉智に大村巌が助言「自分の好きなようにやればいい」 (4ページ目)

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki
  • photo by Koike Yoshihiro

 迷路から脱出させるべく、「道はこっちだ」と示して導く。大丈夫だと励ましながら、周りからの期待で求めていたことと、4番として求められることとの違いを明確にした。そのうえで技術的な話に入った。 

「ポイントを前にして、インコースの球をライトに引っ張るというバッティングを4年間していたんですね、筒香は。『そうすると外の変化球を打てない。空振りして』と言っていたけど、それはそうだと。僕はそこで彼に言いました。『ポイントは無数に点在するから、前とか、うしろとかじゃない。おまえの場合は、もうあらゆるところを打てる。ただ、ちょっと打ててないところがあるから、まずそこからだな』

 プロ野球選手の契約期間は21日から1130日まで。その時期、11月半ば、大村が筒香に指導できる時間は2週間しかなかった。本来は1~2カ月かかるところ、2週間で詰め込むことを筒香が快諾。糸井とは違ってプロでのバッター経験が4年あったから、マンツーマン指導ならば可能と判断した。

「糸井と同じで吸収力がすごくて、覚えるのは早かったですが、飽きせないで、興味を持たせるような練習もいろいろしました。でも、本人がもともとやりかった広角打法だから、ものにするのも早かったと思う。嫌なことをやらされると時間かかるんですけど、自分でやりたいことは身につくのが早い。それは今のロッテの選手たちにも通じることです」

つづく

(=敬称略)

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