36歳でキャリアハイの要因は。中村剛也に4択クイズで迫った (4ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Jiji Photo

 どうですかね......少し考えた中村は、こう続けた。

「大人になったのかな。ハハハ。そういう感じはしますけどね、多少は」

 小さい頃から本塁打を打つ練習を重ねてきたと自負する中村だが、阿部コーチが想像するように、全打席狙わなくてもいいと"割り切る"ようになったのだろうか。

「でも、僕の理想は、打てると思った球は全部ホームランにしたい。そういうのもあるんですけど、なかなかうまくいかないので、そんなのはいい。何というのか、無理にホームランを狙わなくなったのはありますよね」

 理想と現実は、誰にもある。その折り合いをうまくつけるのは、決して悪いことではない。むしろ、成功を収めるには不可欠だ。

 中村が理想と現実の間でうまく折り合いをつけられるようになった理由は、バットの構え方に隠されている。

「若い頃はバットがすごく高い位置にあって、それがどんどん下がってきて。今は、そこまでめっちゃ上げている意識はなくて。でも多少上げて、力が抜けている。若い時はバットをガッと上げていると、力がガッと入っていた。それより多少下がっているんですけど、そこで力が抜けている。そういうのがあるかな」

 バットを高い位置に構え、力が抜けているからこそ、素直にバットが出てくる。結果、4年ぶりの30本塁打とキャリアハイの打率を同時に達成することができた。そうした姿を中村は「大人になった」と形容したが、取材者の目からすると、「36歳の進化」に見える。

 自然体で構えられるようになったから、素直なバッティングをできているのだろうか。

「そうですね。難しいんですけどね。考えてないので(笑)」

 36歳になり、自然体で到達した境地――。中村剛也が「稀代のホームランアーティスト」と言われる理由が、何となくわかったシーズンだった。

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