カープ低迷期を支えた永川勝浩が引退。心と体のギャップに限界を感じた (3ページ目)

  • 前原淳●文 text by Maehara Jun
  • photo by Nishida Taisuke

 積み重ねた165セーブを「遠い昔の話みたい。165がすごいかはわからない。たまたま球団新記録であっただけで、これから抜く人がたくさん出てくると思う」と誇ろうとはしない。もちろん内転筋を痛めた2011年以降、160試合に登板し、12勝8敗1セーブも誇れる数字ではないかもしれない。ただ、大きな財産となった。

「昔は結果もそこそこ出ていましたし、変化をしなくてもいいというところはあったと思います。本当にすぐに調子に乗る性格で、何でも簡単にできると思っていました。ここ数年で、いろんな意味で大人にしてもらった」

 12月に39歳になる。白髪も目立つようになった。投球フォームから無駄をなくしていったように、人としても角が取れて丸くなった。

「今を大切に。今日は今日しかないと思いながら、日々を過ごしてほしい。1日1日を無駄にせず、"今"を生きてほしいと思います」

 やり過ごした今は、変えられない過去になる。今を変えることで、未来は変えられる。後輩たちへ伝えたい最後のメッセージに、元守護神が過ごした17年の重みが詰まっていた。

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