「けっこう恥ずかしい」雄平語録。コロコロ変わる打撃の形は探求心の証 (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Koike Yoshihiro

---- 「きっといいことはある」という言葉が印象的でした。

「根拠はなかったんですけど、模索するってことは、いいことが起こるために必要なことですから。模索し続けていけば、今年の僕のバッティングの形が見えてくると思っていたので......。結果、フォームは変えたんですけど、それでよかったです(笑)」

 そして8月、雄平は打率.351、6本塁打の大爆発を見せた。ひとり早出でも頼もしい言葉が多くなっていった。

「ボールは目で見るんじゃなくて、体で見るんだよ。それも体の芯で見る。わかんないけど(笑)。まぁ、僕は言うことがコロコロ変わるから」(8月2日)

「バッティングは意識なんだよ。今は背中を意識して打席に入っている」(8月4日)

「新しい発見があった。体の軸が動いていた。だから、左足のこのあたりに力が乗っからない。ヒット1本も2本も、タコ(無安打)も紙一重」(8月6日)

 8月13日には「直すところがない」と宣言し、「左の山田哲人」と言ってバットを振り始めた。驚くことに、バットの構え方、足の上げ方、表情まで山田にそっくりだった。

「僕の打席でも、哲人の応援歌をやってくれないかな。あっ、哲人が来た! 僕の練習、見てくれているかな」

「(中日の左腕・ロメロについて)」メジャーの時の映像を見たら、100マイル出ていて、これは打てない。ただ、左打者には(被打率)2割6分ぐらいなので、甘いボールがきていると思う。そこを見逃さない。甘い球がこなければハードラック(不運)。割り切りも大事。あっ、哲人が来た! 僕のこと見ていますよね」(8月14日)

「昨日は左の脇が開いていたから、そこをちょっと修正する。じゃないと、バットのヘッドが回らない。哲人来た! 見てる? 見てる?」(8月17日)

 好調だった8月、雄平は「バットの軌道やタイミングのイメージがすごく沸いてきたんです」と言った。"左の山田哲人"については、山田のすごさがよくわかる答えをくれた。ちなみに、雄平は坂本勇人(巨人)や柳田悠岐(ソフトバンク)のフォームを取り入れたティーをしていたこともあった。

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