いい味出してるアップルパンチ。
西武にとって外崎修汰の成長はでかい

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Jiji Photo

 外崎はスイング軌道的に、センターから右方向に強い打球を放てるという特徴がある。レフトへの安打や本塁打も少なくないが、本人はこう考えている。

「調子がいい時は、勝手に引っ張れちゃうというか。でも結局、インコースに対して反応がいいことは、あまり続かない。反応がよすぎて、それをイメージしちゃうと身体の開きが早くなるからです。基本はセンターから右方向で、変化球が甘くなったら勝手に引っ張っちゃうイメージですね」

 そう話した次戦、9月18日のオリックス戦では7回、2-0から勝負を決める本塁打をレフトに放った。相手先発の荒西祐大が投じたのは内角への145kmストレートで、「難しいボールだった」と外崎は振り返っている。

 この打席で光ったのが、読みと対応力だ。外角にカットボールとスライダーという同系統の球種が3球続いて、2ボール1ストライク。次に、外崎はストレート系の比重を多く置いていた一方、内角を想定していたわけではない。ただし、荒西の武器のひとつ、140km台の高速シンカーの軌道をイメージできていた。

「(内角への球が)シュートして来るのは大前提でわかっていたので、詰まりたくないなと、ちょっと早めにタイミングをとっていました。打ったのはインコースだったけど、レフト側にうまいこと反応しようと思って打ったわけではないです。タイミングをしっかりとれている分、うまい具合に反応できたのかな」

 長いシーズンを戦い抜く体力、打撃の技術に加えて、心も整ってきた。

「たしかに三振はしています(リーグ4位の129三振)。でも、開き直りではないけど、去年のように悪いイメージを自分に植えつけることはないですね。シーズン最初に大きな波があったけど、調子が上がってきてからは、自分のなかで調子が悪いと思う時が少ないです」

 第4コーナーから直線に入り、最後の叩き合いとなっているソフトバンクとのマッチレース。外崎が打点を稼いで西武が上位4人を独占、あるいは「100打点カルテット」が誕生した時、獅子は歓喜の雄叫びを上げているはずだ。

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