ヤクルトは長期展望より目先の整備。崩壊状態を救う即戦力投手が必要 (3ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 河野は 身長174センチと上背こそないが、テイクバックが見えにくいフォームから最速151キロのストレートを投げ込んでくる左の本格派だ。とにかく試合をつくれる投手で、大崩れしないのが最大の魅力だ。全盛期の和田毅(ソフトバンク)を彷彿とさせる。

 河野を獲得すれば、同じく左投げの高橋奎二だって刺激を受けるはずだし、先輩の意地を見せてくれるはずだ。そうした相乗効果も期待したい。

 今年はドラフト制度が少し変わり、2位以下の指名方式が変わった。それまでセ・パ交流戦で勝ち越したリーグに指名の優先権が与えられていたが、今年から交流戦の成績に関わらず、今年はセ・リーグ、来年はパ・リーグと1年おきに優先権を得られることになった。つまり、今年の2位指名はセ・リーグ最下位のヤクルトからとなるのだ。

 そこで2位で指名したいのが、JR東日本の太田龍(投手/右投右打)だ。身長190センチの大型右腕で、河野と同じ高卒3年目の選手である。チームのシステマタイズされたプログラムで育成され、3年間で実戦力を培った。145キロ前後のストレートに、勝負球のフォーク。間違いなく先発ローテーションを任せられる逸材である。

 もし太田がどこかの球団に1位で指名されたら、東芝の岡野祐一郎(投手/右投右打)や大阪商業大の大西広樹(投手/右投右打)のどちらかを獲得したい。派手さはなくても、試合をつくれる確かな技術を持った投手たちである。

"長期展望"はもちろん大切だろうが、今のヤクルトに必要なのは目先の戦力である。正直、選手が育つのを待っている時間はない。とにかく、攻撃陣が元気なうちに投手陣を整備しておかないと、すぐに暗黒時代はやってくる。

 逆に投手陣さえ整えば、Aクラスはおろか、優勝だって夢じゃない。それがヤクルトというチームの魅力でもあるのだが......いずれにしても、今年のドラフトは1年目からバリバリ投げられる、そして試合をつくれる投手を徹底的に獲得すべきだ。

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