西武がどうしても欲しい逸材。「即戦力投手」と「秋山翔吾の後継者」 (2ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

"若手"と呼ばれてきた金子侑司、来年は30木村文紀は32歳になる。秋山翔吾31歳)にしても移籍の噂が絶えない。いなくなってから......では手遅れである。そういうことで、今年の西武は森下を第一に狙い、外した場合は"後釜"候補の野手を確実に獲っておきたい。

 おかわりくんの後釜なんて、そういるものではない。なので、ここはポスト秋山だ。もちろん、秋山ほどの存在になってしまうと、そうそう後釜なんているわけもないが、あくまで候補になれそうな選手を探したい。

 走攻守すべてのカテゴリーで"秋山の後釜"になれる資質があるのが、法政大の宇草孔貴(うぐさ・こうき/外野手/右投左打)。

 185センチ、83キロのサイズがありながら、スピード感と走る意欲があるのが大きなポイントである。下級生の頃は非力感が漂ったバッティングも、今年春のリーグ戦では神宮球場のバックスクリーンに放り込み、逆方向にも長打が打てるようになった。あとは、少しでも上の次元での野球に取り組む意欲があるのかどうかだ。

 秋山の偉大さは、プロに入ってから自らの野球を磨き上げた努力の量だ。宇草は持っている能力の高さは、大学時代の秋山に匹敵するか、それよりも上かもしれない。指名されたことで満足するのではなく、さらにその上を目指してほしい。そうすれば、秋山のように球界を代表する外野手になれる可能性は大いにある。

 この宇草を狙っている球団はほかにもあるはずだ。もし目前でさらわれた場合は、慶応大の柳町達(たつる/内・外野手/右投左打)だ。

 センターも三塁手もこなせる"野球上手"な選手で、スローイングのよさは大学屈指。試合中だけでなく、シートノック時からストライクスローの返球をする意識の高さと送球能力は特筆すべきである。打っても、ここ一番の勝負強さと芯でとらえるミート力も一級品。もう少し体ができてくれば、長打も期待できる。こういう選手がベンチにいると、非常に心強い。

 野手に限って言えば、西武は今が「ピーク」でないだろうか。そういう意味で、今年のドラフトはこの先のチーム力を左右する分岐点となるのは間違いない。

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