2019.09.12

八重樫幸雄は野球少年に伝えたい
「オープンスタンスはマネちゃだめ」

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi

【「実はSMAPファンだったんだよ(笑)」】

――野球に関して、「ずっと続けていたこと」は何かあったんですか?

八重樫 「常にバットを離さない」っていうことかな? 大杉(勝男)さんはいつも、枕の下にバットを置いて寝ていたんだけど、僕もずっとバットを布団の横に置いて眠っていたよ。

当時を振り返る八重樫氏 photo by Hasegawa Shoichi――キャンプや遠征先で、大杉さんと八重樫さんは同部屋だったんですよね。

八重樫 そう。なぜか、大杉さんと同部屋になることが多くてね。ああ見えて、大杉さんはすごく繊細な人だから、寝る時には物音ひとつ立てちゃいけない感じで、大杉さんの寝息が聞こえたら、ようやく僕も眠ることができた。でも、調子の悪いときには、気がつけば僕の頭の上で大杉さんがバットを振っていたことも、よくありましたよ。それは僕も同じで、「バットを手放す時は引退する時だ」と思っていたし、実際、そうだったね。

――あらためて最初の質問に戻るんですけど、今でも八重樫さんがファンから愛されているのは、「いつも全力プレーを心がけていたから」というのは理解できました。でも、現役時代を知らない世代の人にも、八重樫さんは愛されているように思うんですけど......。つば九郎や、タレントの中居正広さんは今でも、八重樫さんのオープンスタンスをマネしたりしていますよね。その影響なのでしょうか?

八重樫 そうだとしたら嬉しいね。僕は全然、アイドルには興味がなかったんだけど、たまたまテレビで、中居くんが子どもたちに野球を教えている番組を見たんだよ。何気なく見ていたんだけど、言っていることがすべて正しくて、「彼は本当に野球が好きなんだな」って思って、それからSMAPを見る目が変わったんだよね。それぞれの個性がわかるようになってから気になるようになって(笑)。

――じゃあ、SMAPの解散は残念でしたね。

八重樫 そうだね、残念だった。一度、番組に呼ばれたこともあったんだけど、「そういうキャラじゃないから」って断ったんだよ。

――つば九郎も、中居くんもそうですが、やっぱり、あの独特の打撃フォーム、「オープンスタンス」が、強烈にみんなの印象に残っているんですよね。

八重樫 印象に残っているのは嬉しいけど、野球少年たちにはあのフォームは絶対にマネしないでほしいな。あれは究極の打撃フォームだから。