阪神メッセのNPB人生に反骨心あり。助っ人史上最強投手への挑戦は続く (3ページ目)

  • ブラッド・レフトン●文 text by Brad Lefton
  • photo by Kyodo News

「まさか味方のコーチに否定されるとは思っていませんでした。名前は言えませんが『お前は三振を取るピッチャーじゃない!』と。私を発奮させるために言ったのではなく、本当にそう思ったんでしょう。別に三振を取るために投げているわけではありませんが、最初からそうやって否定されたことに、正直ムカつきました。だからこそ、いいピッチングをしてやろうと、私の心に火がついたんです」

 201314年、メッセは2年連続最多奪三振のタイトルを獲った。

 また昨年の10月3日の広島戦では、新たに歴史を塗り替えた。6回裏に鈴木誠也から空振り三振を奪い、郭源治(元中日)が持つ1415奪三振の外国人投手記録を更新したのだ。8月29日現在、1474まで記録を伸ばしており、プロ野球史上55人しか達成していない1500奪三振も目前に迫っている。

 これまで数々の記録を達成してきたメッセだが、どれが一番印象に残っているかと聞くと、「勝利数」と即答した。

 投手にとってチームへの貢献度を表わすものであり、エースの資質が問われる数字である。昨年11勝(7敗)をマークしたメッセだが、通算7度目の2ケタ勝利シーズンは、郭泰源(元西武)を抜いて外国人投手史上最多となった。

 振り返れば、この記録も「悔しさ」が原点になっている。来日した2010年当初、メッセの起用法は中継ぎだった。そして二軍落ちした際、先発として昇格することを目標に練習に励んだ。同年7月11日に甲子園での横浜(現DeNA)戦で、来日初先発を果たしたのだった。

 その後も阪神の絶対的エースとして白星を積み重ね、ここまで(8月29日現在)98勝をマークしている。あと3勝すればジーン・バッキー(元阪神など)、ジョー・スタンカ(元南海など)が持つ通算100勝のアメリカ人投手としての最多勝利数記録を塗り替えることになる。ちなみに、外国人投手の最多勝利数は、戦後だと郭泰源が117勝でトップ、2位は郭源治の106勝である。

 メッセに「この数字は目標か?」と問うと、力強くこう答えた。

「言うまでもないでしょう。もちろんです! ぜひ阪神の選手として頑張りたいと思っています」

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