八重樫幸雄が今ならわかる荒川博の仰天指導「左足が着く前に振れ!」 (4ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi

――このノートの存在を知っているのは、限られた人だけなんですね。

八重樫 (野村監督政権下のヤクルトで2度の日本一に貢献するなど、名打撃コーチとして名を馳せた)伊勢孝夫さんは、このノートを見せてもらったって言ってましたね。あとは、若松さんも当然、目にしていると思うけど、あとはわからないな。僕は、野村(克也)監督の下で、「野村ノート」を経験しているけど、「野村ノート」が話題になる20年以上も前から、野球選手としての心構え、細かいフォーメーションプレーについてまとめられていたのを見て、「三原さん、さすがだな」って、あらためて感じたよね。

――さて、気になる中身ですが......。

八重樫 それは企業秘密ということで(笑)。自分で書いたメモじゃないし、中西さんが僕を信頼して見せてくれたものなので、ここで紹介するのは勘弁してほしいな。ゴメンね。

――では最後に、「三原監督の3年間」を総括していただけますか?

八重樫 三原さんの監督時代、一度もAクラスにはなれなかったけど、それでも「強くなっているな」という実感はあったよね。その前の別所監督時代、僕はまだ1年目で一軍経験がなかったから、客観的に見ていただけだけど、あの頃は試合が淡白だった。相手に1点取られると、「あぁ、今日も負けだな」っていうムードになるんだよね。でも、三原監督時代はたとえ負けでも、最後まで粘るチームに変わったし、変な言い方だけど、「後々に役立つ負け方」だったから。そういう意味では、ヤクルトに大きな財産を残した監督だと思うな。

(第4回につづく)

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