7番降格、何かが起きてる山川穂高。本塁打&打点トップも不調が続く (2ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Jiji Photo

 見る人が見れば、『全然いいじゃん。結果出ているし』と言う人もいるでしょうし、『山川、こんなものじゃないだろう』という人もいるでしょう。それは見ている人が決めることですけど、僕自身は、今年に限っては試行錯誤の年。『よし、今日打てたから、明日もこれで絶対打てる』というのが、確信的にあるのが少ないです」

 山川ほど、見た目と内面のギャップがある選手は珍しい。豪快なように見えて、繊細な感覚や論理的な思考が際立つ。誰も真似できないようなフルスイングは、精緻な技術とロジカルな頭脳から成り立っている。

「今年は1本打つ難しさ、1個勝つ難しさを実感させられることが多いです。必死にやるしかないと思いますね」

 そう話していたのは、4月20日のソフトバンク戦の後だ。今季開幕直後から思うように状態が上がらず、投手と正対気味に構えたり、足の上げ方を変えたり、試行錯誤を繰り返した。そうして、3・4月の月間MVPを受賞し、上昇気流に乗っていく。

 だが、交流戦で厳しい内角攻めに遭うなどし、打撃に狂いが出た。山川を球界きってのホームランアーティストたらしめるのは、基本的に全球本塁打狙いで思い切り振りにいき、ボール球が来たら見極めるという選球眼、そしてそれを可能とする技術にある一方、気づけば悪球に手を出す場面が増えていた。

「本来は、『あのあたりの球を、あの形で打てる』『このあたりに来ない球は、振らない』が自分の理想です。それにはバランスやタイミングがあるんですけど、今は当然疲れや、頭の整理をできないまま打席に入るときもあります。ゴチャゴチャってなっていた時期が長かった。

 残り40試合を切ったくらいから、こんなことをやっている場合じゃないなって。とにかく、目の前にあるボールを強く打つ。シーズンの始めだったら割と結果が出ていなくても、(結果より)いい形にすることを優先できる。でも、今は結果を出しながら、いい形に持っていけるようにしないといけない」

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