2019.08.10

日本ハム有原航平にエースの風格。
2つの球種が有効→投球術を変えた

  • 浜田哲男●文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Kyodo News

 もうひとつ大きく変わったのはチェンジアップの割合だ。昨季は約9%だったのが今季は約19%と飛躍的に増加。同球種の被打率は昨季も.214と低かったが、今季は.141とさらに低下した。

 さらに、空振り率は昨季の約18%から約25%に上昇。今季はすでにキャリアハイの121個の三振を記録しており、そのうちの37個をチェンジアップで奪っている(球種別の奪三振数はチェンジアップとフォークがそれぞれ37個で最多)。ちなみに、昨季チェンジアップで奪った三振は14個。チェンジアップが重要なウイニングショットになっている。

 右打者に有効なツーシームと、左打者に有効なチェンジアップの球数を増やしている効果があってか、今季の対右打者の被打率は.188、左打者の被打率は.194と安定感抜群の数字を残している。特に、これまで苦手としてきた右打者に対しては、ツーシームで内角を意識させ、フォークやスライダーなどで打ち取るパターンが確立されてきた。

 もともと有原はチェンジアップのほかにも、スライダーやカットボール、カーブ、フォークなど多彩な球種を持っているが、それぞれの球種の割合にあまり差がない。今季のように150km台中盤の直球が走っていることが、各変化球が生きる基本条件にはなるが、打者は非常に球種を絞りにくいはずだ。ちなみに、昨季は直球の割合が約42%だったが、今季は約31%に減少。その分、球数が急増したチェンジアップをはじめ、変化球の割合が増えている。

 球種を絞りにくいことや、勝負所での直球の威力、変化球のキレがあることで一発を浴びることも少なくなった。被本塁打率を表すHR/9(※3)は0.69。これはオリックスの山本由伸の0.46に次ぐリーグ2位の数字だ。

※3:1試合完投相当の9イニングあたり、何本の本塁打を打たれたかという指標

 前回登板の8月1日の楽天戦では、7回2失点の好投を見せるも打線の援護がなく5敗目を喫した。自己最多となる12勝目はお預けとなったものの、3回までに2点を失った後は大崩れすることなく、今季17度目の先発でQSは計12回に。余裕を感じるマウンドさばきや表情からはエースとしての貫禄を感じた。

 現在のパ・リーグは、首位のソフトバンクから5位のロッテまでのゲーム差がわずか5.5。最下位のオリックスも、CS出場圏内の3位楽天とは4ゲーム差と食らいついている。ここ数年は、この時期になるとAクラスとBクラスのゲーム差が開く傾向があったが、今季は近年稀にみる混戦になっており、激しい戦いは最後まで続くだろう。

 そうした状況となった時に大きいのが、ここ一番で頼れる絶対的エースの存在。2016年以来3年ぶりのリーグ優勝を日本ハムが果たす時、その中心には有原がいるはずだ。

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