石川雅規「全盛期はまだまだこれから」。投球術に詰まったプロの凄み (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Koike Yoshihiro

 そして中村は「石川さんのこういう姿は、僕らにとっても勉強になります」と言って続けた。

「これだけ長い間やってこられても、まだまだ上を目指している。打者のタイミングを外すためにクイックをしたり、ボールを長く持ったり、足の上げ方を変えてみたり......。僕も自分のプロ野球生活がいつまで続くかわかりませんが、最後の最後までやりつくしたいです。石川さんを見ていると、そう強く感じます。間違いなく、いい影響を与えてもらっています」

 5月5日、石川は二軍の日本ハム戦(戸田球場)に調整登板して、2回を完璧に抑え込んだ。石川が投じた30球のうち、見逃しストライクは9球。ストライクゾーンにスーッと入っていく、140キロにも満たないボールを前にして、打者のバットはピクリとも動かない。打者がバットを出すもファウルが精一杯で、打球はほとんど前に飛ばなかった。

 この試合でバッテリーを組んだのは2年目の松本直樹で、「1球1球のボールに意図を感じました」と話してくれた。

「同じ球種にしても、いろいろな使い方をしている。見逃しさせるボール、空振りを取る
ボール、ファウルにさせるボール、ゴロを打たせるボール......もちろん、僕も考えているんですけど、石川さんは自分のなかで組み立てているという印象を、あの試合で受けました」

 松本に「石川投手は、技巧派、軟投派と形容されることが多いですが、じつは攻撃的なタイプの投手ではないかと思っています」と伝えると、興味深い答えが返ってきた。

「キャッチボールをしていて"怖さ"を感じたのは、石川さんが初めてなんです。石川さんのボールは、手元でピュッとくるというか......ボールの出どころが見づらかったり、ボールの回転だったり、キャッチボールなんだけど"恐怖"でした。石川さんの真っすぐは表示される以上に、打者に対して威圧的なボールだと思います」

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