斉藤和巳が語る和田毅の凄さ「細部までこだわっていろいろ考えてる」 (3ページ目)

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • photo by Kyodo News

――和田投手は1981年2月生まれですから、40歳が見えてきました。

「昨年のオフに肩の状態について聞いたら、僕が経験したような感じだったので、いくつかアドバイスをしました。(今年6月の)一軍での登板のあとにも気になるところがあって、球場で会ったときに話をしました。本人も気づいていましたけど」

――年齢を経るごとに故障や体力の衰えもあって、万全の状態で投げることが少なくなっていくと思います。何に気をつければいいでしょうか?

「違和感があると、うまくパフォーマンスを出せなくなるし、ちょっとしたことでバランスが崩れることがあります。でも、どこも悪くない、痛くもないピッチャーはいません。大きな故障をした場合、"元に戻す"よりも"新しく作る"という意識でいたほうがいいと思います。過去のいいイメージばかりを追いかけると、行き詰まることがありますから。体の変化に対応しながら、新しいものを作っていくほうがいいんじゃないでしょうか」

――痛みについては、本人にしかわからない部分がありますよね?

「そこが難しいところなんです。限界を超えたらいけないけど、手前で怖がりすぎたら最高のパフォーマンスは出せません。そのあたりのバランスをどう取るかが大事ですね」

――今後の和田投手に望むことは何ですか?

「昔のように、長いイニングを投げるのは難しいかもしれません。限られた投球回数のなかで、どれだけ質の高いピッチングをするか。若い選手にいい影響を与えてほしいですね。

 引退する時には、自分で本当に納得してからユニフォームを脱いでほしい。もし『ボロボロになるまで......』と思っているなら、とことん投げてほしい。160キロの剛速球を投げるのもプロなら、130キロ台のストレートで抑えるのもプロ。彼のボールはまだまだ若いし、あの投球術をこれからも見たい。常々、僕は『最低でも40歳までは投げろよ』と言っていますが、それを実現できるように頑張ってほしいです」

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