ミランダを日本での成功に導いた「小さなグラブ」と「アリガトウ」 (2ページ目)

  • ブラッド・レフトン●文 text by Brad Lefton
  • photo by Koike Yoshihiro

 ミランダは2015年からボルチモア・オリオールズとアマチュアFA契約を結び、翌年の7月31日にトレードでマリナーズに移籍。つまり、28歳の時までずっと特殊な小さいグラブを使っていたわけだ。

「小さいグラブのこだわる理由は、素早く動くためです。私は反射、反応というものを大事にしていて、そういう部分でも小さなグラブが役立っています。『大きなグラブにしろ』と言われて変えた時は、違和感がありました。そこから徐々に慣れていき、今ではあまり気にならなくなりました」

 たった半インチの違いだけでも違和感があったという話を聞けば、ミランダがいかに繊細な人間かがわかる。これまで多くの外国人選手が細かい日本の野球に苦労してきたが、ミランダの性格なら十分に対応できるはずだ。

 そしてミランダには、もうひとつ大きな武器がある。キューバから亡命し、アメリカでたった3年しかプレーする経験がなかったにも関わらず、日本の文化に触れる機会が多かったことだ。

「マリナーズに移籍した2016年、青木(宣親/ヤクルト)、岩隈(久志/巨人)、それに日本人ではありませんが李大浩(韓国プロ野球のロッテ)がチームメイトになりました。彼らとはコミュニケーションをとっていましたし、いい関係を築けていました。3人とも日本でプレーした経験がありましたし、いろんな話を聞いていました。それに去年はイチローがマリナーズに復帰し、さらに日本文化に対して馴染みが深まりました」

 日本の文化について、気に入っているものは何かと問うと、ミランダは笑顔で「アリガトウ」と言って、こう続けた。

「とくに感じるのは、あいさつです。日本人は毎回いつも丁寧にあいさつしますし、常にリスペクトの気持ちを持ちながら過ごしていると感じます。そのあたり、すごく教育に熱心な国なんだと感じます。私も日本人のチームメイトだけでなく、同じラテン系のチームメイトに対しても、必ずあいさつします。気持ちいいですね」

 すぐに日本球界に溶け込めた背景には、小さなグラブだけでなく、積極的に日本の文化を学ぼうとするミランダの姿があった。

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