村田修一が高卒1年目の打撃論にあ然「ヒットの理由をメモしました」

  • 寺崎江月●取材・文 text by Terasaki Egetsu
  • photo by Nikkan sports/AFLO

ルーキーコーチ・村田修一の指導論 後編

(前編はこちら>>)

 現在、セ・リーグの首位を独走する巨人は"新陳代謝"が活発になっている。ファームから一軍に上がってきた選手が積極的に起用され、そこで結果を残し、チームの勝利に貢献している。

 そんな選手たちに、村田修一ファーム打撃兼内野守備コーチはどんなアドバイスを送ったのか。さらに、次なる期待の若手として、ひとりの選手の名前を挙げた。

ファームで指導をする村田コーチと岡本和真ファームで指導をする村田コーチと岡本和真

──まず、今シーズンに一軍に初昇格した増田大輝選手、入団2年目で一軍スタメン出場が増えている若林晃弘選手に、村田修一コーチのアドバイスで印象に残っていることを聞きましたので、それをふまえてお話を聞かせてください。

【増田選手のコメント】
「春季キャンプで『お前の方針はこれで行く』と言われ、目の前に目標ができたんです。具体的には、『2ストライクと追い込まれたら、ショートスイングでハードにコンパクト』というアドバイスをもらいました。おかげで、今では追い込まれてからもファールで粘れたり、ヒットが出たりするようになった。僕にとって、プロで活躍するためのひとつの道が開けたと思います」

──増田選手は2015年の育成ドラフト1位から這い上がってきた、俊足と強肩が売りの選手ですが、どういった意図でこのアドバイスをしたのでしょうか。

「僕が一軍の首脳陣だと仮定して増田を分析した時に、『一軍に上がってきても即スタメンでは起用はしない』と思いましたし、それは本人にも話をしました。彼はまず走塁や守備で試合の途中から起用され、そこで評価されて『スタメンで使ってみようか』となり、打席に立つチャンスが回ってくる選手だと思ったんです。だから、走塁や守備でのミスをなくすことが第一でした。

 打撃面では『長打はいらない』と伝えました。増田の打者としての特徴や起用される打順などを考えると、追い込まれてからも粘って、相手の投手に1球でも多く投げさせることが必要になります。ショートスイングは『当てにいく』というわけではないので、ハードに強く振り抜くことも一緒に伝えました。そのためにバットを短く持つのか、ピッチャーの足元、反対方向に打つのかといったことは任せています。これは増田に限らず、他の選手にも伝えていることですけどね」

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