中日・高橋周平が体の動き方改革を実施。1本のファウルが契機だった (4ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Kyodo News

 高橋は5月に行なわれた24試合すべてに出場し、96打数40安打、29打点、打率.417というハイレベルな数字を叩き出し、月間MVPに輝いた。リーグ最多の安打数と打点をマーク、3試合連続を含む8度の猛打賞は、川上哲治、イチローらに並ぶ月間記録の日本最多タイ。オールスターゲームにも選手間投票で選出されるなど、日本を代表するサードベースマンとして、侍ジャパン入り、東京オリンピックへの出場も視野に入ってきた。

「いやいや、そんな気持ちはまったくないですよ。まったくないというか、そういうことを考える選手じゃありません。これまでにWBCに出ていたり、侍ジャパンに何回も入っていて、それでオリンピックというならわかるんですけど、選ばれたこともないですから、そんなの無理です、無理無理(苦笑)」

 去年の11月に長女が誕生して父となり、キャプテンに任命され、サードに固定された。覚醒するだけの舞台は用意され、地に足を着けて野球に向き合う覚悟を決めたことで、眠れる大器がようやく目を覚ました。3歳から野球を始めて、子どもの頃から誰よりも野球がうまかったという高橋は、ボールを遠くへ飛ばす才能を授かっている。

「子どもの頃はホントに野球ばっかりやってました。なぜあんなに野球が好きだったのか、自分でもよくわからないんですけど(笑)。周りから『そんなに野球してるの』ってビックリされるくらい、野球をやっていました。好きだからとはいえ、それだけやってきたというのは自分でもすごいと思いますし、それがよかったのかもしれません。

 あの頃は松井秀喜さんに憧れていましたし、同じ苗字だからと高橋由伸さんのマネもしていました。ホームランというのは一番すごいと思っていますし、もちろん今でも打ちたいという気持ちはあります。やがてはホームランバッターになりたいという気持ちも、捨ててはいません。でも、今の実力だとホームランを打とうとすると、ほかのところが疎かになるんです。だから、ホームランは自然に出てくればいいと思っています」

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