中日・高橋周平が体の動き方改革を実施。1本のファウルが契機だった (3ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Kyodo News

「あの時、自分のバッティングにはホント、魅力がないなと思いました。もともとは引っ張るバッターだったんですけど、そうすると変化球を振らされてしまったり、低めのボール球に手を出してしまうということがありすぎて、最近は逆方向に意識を持っていたんです。もちろん、それでは自分としての魅力がないと思っていましたし、強い打球も生まれません。でもそのほうが、確率が上がると信じて、ずっとやってきたんです」

 本来のバッティングを封印してまでも、結果を出しにいく。しかし、それでも結果が出ない。高橋のなかに迷いが生じる。そんな時、思わぬ感覚と出会った。

 5月5日、ナゴヤドームで行なわれたスワローズとの一戦、高橋は最初の打席、寺原隼人が投じたアウトコースのシュートを引っ掛けてセカンドゴロ、第2打席はアウトコースのストレートをおっつけてレフトフライに倒れた。今まで通り、結果が欲しくて逆方向へ意識を置きながらのバッティングだった。

 ところが第3打席、スワローズの2番手、左腕の中尾輝が投げたインコースのストレートに対して、バットがスムーズに出た。ライト方向に飛んだ打球はファウルだったのだが、この時、高橋は本来の自分のバッティングの感覚を思い出したのだという。

「自分のポイントで打てたと思ったんです。それまではボールを引きつけて、どちらかというと体のうしろのほうで打とうとしていました。でも、あのファウルを打った時、もっと前で捉えるくらいのタイミングで入っていかなきゃダメなんだと感じました。

 たぶん、自分のなかではそうやって打たなきゃ(本来の持ち味が出せない)ということはわかっていたんだと思います。でも、(試合に出なければ、結果を残さなければという気持ちが強すぎて)それができなかった。あの1本をきっかけに、バッティングの意識する部分が変わって、5月の結果につながったんだと思います」

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