中日・高橋周平が体の動き方改革を実施。1本のファウルが契機だった (2ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Kyodo News

「今、思えば、自分自身がどうなりたいのかというところが見えていなかったと思います。ホームランバッターでもないのに、ただやみくもに強く打とうとしても、打てるわけがなかった。間違っていたのは、そういうところの考え方じゃないですかね。去年、初めて規定打席に立たせてもらったんですけど、そこでものすごく感じたのは、『1日1本のヒット打つためには、ただ思い切り振っているだけでは絶対に無理だ』ということでした。だから、去年からはバット短く持つようになったんです」

 プロ7年目の去年、開幕からセカンドで出場した高橋は、初めて規定打席に達し(433打数110安打、打率.254)、ホームランも初の2ケタ(11本)を記録した。ようやくドラゴンズのレギュラーとして、去年は95試合にセカンドで、23試合にサードでスタメンに名を連ねた高橋だったが、今年、ドラゴンズの監督に就任した与田剛は、高橋に"キャプテン"と"サード"の2つのポジションを与えた。

 高橋に限らず、チームとしてドラフト1位の選手を育て切れていない状況を改善したいということが1つ目、25歳の若い高橋にキャプテンを任せることでチームを活性化したいということが2つ目の理由で、つまりは高橋を中心にチームをつくるという、与田監督の覚悟がもたらした決断だった。

「キャンプの時、監督から『今年はサードの練習だけすればいい、セカンドはやらなくていい』と言われました。同時にキャプテンという立場もいただいて、その一番の理由はそこ(チームの中心選手になれというメッセージ)なんだろうと思いましたし、キャプテンになって試合に出られないというのはみっともないことだという気持ちがものすごくありましたから、試合に出るためにはサードで勝負していくしかないんだなと思いました」

 オープン戦で打率.278、ホームラン3本、打点15はジャバリ・ブラッシュ(イーグルス)と並12球団でトップタイ。十分な数字を叩き出した高橋は6番、サードで開幕スタメンを勝ち取り、好スタートを切った。しかし4月後半、高橋はトンネルに入ってしまう。高橋はこう言った。

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