ロッテ・種市篤暉は「ただの東北人じゃない」。今季、エース級の活躍 (3ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Kyodo News

「投げることに関しては何も心配していないんですけどね。ただ、青森の子はどうも引っ込み思案っていうのか、そこのところだけが気になって......」

 そう言うと、長谷川監督が間髪入れずにこう返してきた。

「まったく心配ないと思います。アイツはただの東北人じゃないですよ」

 その言葉に妙に合点がいったものだ。

 そして昨年のフレッシュオールスター。先発した種市は立ち上がりから150キロを連発。「ずいぶん練習したんだろうなぁ」とうれしかった。

 1番の福田周平(オリックス)、2番の熊谷敬宥(阪神)とふたりの左打者にストレートを合わされレフト前に運ばれたが、3番の川瀬晃(ソフトバンク)をどん詰まりのセカンドゴロ併殺打に仕留め、4番の西村凌(オリックス)は勝負球のフォークで三振。変な言い方だが、堂々とピンチを切り抜けてみせた。

 あれから1年が経とうとしている。すでにローテーション投手となり、6月13日の交流戦でのDeNAとの試合は、7回1失点の好投で今季4勝目を挙げた。筒香嘉智から3三振なんて、もう立派なエース級の投手である。切り札のフォークを意識させておいて、堂々のストレート勝負。やっぱり種市は"ただの東北人"ではない。

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