ヤクルト、16連敗ストップの舞台裏。交流戦での逆襲に期待だ (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Kyodo News

「中4日でしたが、その間の練習ですごく状態がよく、腕をしっかり振れたかなと。とにかく連敗を止めたい一心でやってきて......やっと勝てましたが、これで終わりじゃないんで。明日からまた気を引き締めて、次の試合でもベストにもっていけるようにやっていきたいです」

 原は7回裏二死走者なしから、伊藤光にストレートの四球を出し降板。デーブ・ハフがマウンドに立つと、捕手も中村悠平に交代した。中村は試合前、こんなことを語っていた。

「これだけの大型連敗をしているということは、僕が同じような失敗をしているんだなと......。そのことに責任を感じています。自分の出すサインひとつにチームの勝敗がかかっていますし、裏方さんとかの生活もかかっている。今日は交流戦前の最後の試合なので、しっかりと全員で戦っていきたい。この先も、どうしたら勝てるのかを意識していきたいと思っています」

 8回裏には、コンディション不良から戦列復帰した抑えの石山泰稚が登板。1点を失ったが、チームにとっては大きいイニングとなった。

 9回裏のマウンドに立ったのは、石山の不在中、抑えに抜擢された3年目の梅野雄吾。先頭の筒香嘉智に二塁打を打たれるも、後続をきっちりと抑えた。

「プレッシャーはもちろんありましたが、絶対に勝つという気持ちで投げました。チームの勝ちに貢献できてうれしかったです」(梅野)

 試合後、選手たちの歓喜の声が聞こえてくるなかで、小川淳司監督の囲み会見が行なわれた。

「ホッとしたと言ってはいけないんでしょうけど、勝ててホッとしたというのが正直なところです。とにかく、どうにかして連敗を止めないといけない。そういう思いしかなかったです」

 初回に殊勲のタイムリー二塁打を放った大引は、しみじみとこう語った。

「連敗中は、本当に野球の持っている不思議な流れ、目に見えない大きな力を感じたというか......とくに坂口(智隆)がそうなんですけど、いいコンタクトをしても野手のいないところに打球が飛んでくれない。でもひとつ勝つことで、そういういい当たりが野手の間に飛んでくれたりとか、ミスショットがボテボテでも内野安打になったりとか、好転しそうな感じがあります。これから交流戦に入りますが、去年は優勝していますし、今日の勝ちを起点にして頑張っていきたいですね」

 選手たちは16連敗中も集中力を切らさずに練習して、試合に臨んできた。この経験は必ず大きな力へと変えられるはずだ。ヤクルトの逆襲に期待したい。

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