ヤクルト、16連敗ストップの舞台裏。交流戦での逆襲に期待だ (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Kyodo News

 午前9時、上田剛史、奥村展征、廣岡大志、宮本丈の4人がビジター側のブルペンへと入っていく。早出のティー打撃をするためで、彼らも"美女木スワローズ"の一員だ。

 1020分にヤクルトのアップが始まると、「トダ(戸田)ソウル、オネガイシマス」と、バレンティンが一軍に昇格して間もない、3年目の古賀優大に声をかける。

 16連敗中、試合を終えてクラブハウスへ戻る選手たちの足取りは重かったが、青木が2ミリの丸刈りにして周囲を驚かせたり、声のよく出る練習風景は救いだった。

 午後1時、試合が始まると、連敗中に苦しめられていた"悪い流れ"から一気に解き放たれたような、すばらしい展開を見せた。

 1回表、二死満塁から6番に入った大引啓次が、DeNA先発の濱口遥大の高めに浮いたチェンジアップを叩き、右中間を破る走者一掃の二塁打で3点を先制。大引が振り返る。

「狙いどおり、ミーティングどおりのバッティングができた。ここまで宮出(隆自)コーチらが、毎日、相手投手の対策を練ってくれていたのですが、僕ら選手がなかなか応えられなかった。今日、ひとつ恩返しができたかなと」

 つづく2回表、先発マスクの古賀が四球を選び、原樹理がきっちりとバントを成功させ、1番に起用された塩見泰隆が2ストライクと追い込まれながらも右中間を破るタイムリー三塁打。効率のいい攻撃で追加点を刻んだ。ちなみに、塩見も"美女木スワローズ"の一員である。

「三振だけは絶対にしてはいけない、なんとか食らいついてバットに当てようと。本当に無我夢中でした。ただ、ほかの打席はあまりよくなかったので......。打席や塁上で、球数が進んでいくごとに慌ててしまう自分がいる。そこをこれから詰めていけたらいいなと思います」

 3回表にはバレンティンの一発でさらに追加点。2回裏にホセ・ロペスのホームランで1点を返されていただけに、貴重な1点となった。

 先発のマウンドを任された原は、中4日での登板となったが、力のあるストレートを軸に7回途中を1失点。自らの黒星から始まったチームの連敗を止めてみせた。試合後、原は安堵の表情を見せた。

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