「浅村ロス」の西武打線に最適解。秋山翔吾と外崎修汰が得た糧とは (2ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • 小池義弘●撮影 photo by Koike Yoshihiro

 3番に抜擢された理由について、外崎自身は「調子が上がってきたから」と捉えている。

 昨季は打率.287、18本塁打、25盗塁とリーグ優勝に貢献したが、今季は開幕から苦しんだ。5月10日時点で打率.193。それが同26日時点で打率.235まで上げた要因は、打撃を微修正したことにある。ヒッチ(バットを上下動させてタイミングを取ること)の動きを少なくして大きく構えると、ボールの見え方がよくなった。さらに、左足を上げるスピードを速くすると、ヒットが出るようになった。

 その成果がとくに表われたのは、5月24日の日本ハム戦だった。サイクル安打に残すは単打のみという活躍を見せたなか、とりわけ光ったのが3打席目だ。外角高めのストレートを振り抜くと、ライトスタンドに浅村を想起させるほど豪快な一発を放った。

 ストレート待ちで打ったこの一打に、外崎の進化は隠されている。

 外崎のスイング軌道は、トップからボールへのコンタクトまで、最短距離で行くわけではない。トップの位置から、横に傾けた試験管のような弧を描きながら振っていく。そうして、コンタクトまでに力を生み出すイメージだ。前者よりスイングの距離が増える分、差し込まれやすくなる半面、足を上げるスピードを速くしたことでタイミングを取りやすくなり、ライトへの本塁打として結実した。

「イメージより差し込まれて『うわっ』と思ったけど、スイングを速く振っている分、ボールに間に合ってスタンドに入った、みたいな感じですね」

 青森県弘前市のりんご農家で育った外崎は、好青年が大自然のなかで純粋培養されたような印象を受ける。天性のパンチ力とスピードを兼ね備える右打者は、入団当初、打撃の感覚を言語化するのが得意だったわけではない。しかし昨年頃から、論理的な説明がうまくなった。

 一般的に野球のプレーは、感覚的な部分が大きい一方、言葉で表現する力はプレーの再現性や微修正のために大切になる。西武では、秋山や山川穂高が抜群に優れている。

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