ヤクルトのタフな偉丈夫は19歳。村上宗隆の「成長力」が驚異的だ (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 宮本ヘッドは「甘やかすつもりはないですし、本人にも直接話しています」と言って、こう続けた。

「みなさんが村上のことを"大物"と言ってくれていますけど、一番怖いのはそこで調子に乗ってしまうことなんです。まだ19歳なので仕方ない部分はありますが、もっと謙虚に、もっと素直に......ということですよね。それができるようになれば、技術はどんどん伸びていくと思いますよ」

 村上は4月23日からチーム早出練習でほかの選手と一緒にバッティングをこなし、個別で守備練習にも取り組み始め、それは今も継続されている。5月25日にはバッティングに加わることなく、宮本ヘッド、土橋勝征守備・走塁コーチとひたすらスローイング練習を繰り返した。村上はその前日の試合で2つの送球エラーをおかしていた。コーチたちも一緒に、ひとつひとつの動きを丁寧に説明しながらの50分だった。

 守備に関して「練習を続けることで成長している手応えはあるか」と村上に聞くと、きっぱりこう言い切った。

「いえ、エラーも多いですし、守備の面ではまったく成長していないと思います。でも、できると信じて、これからも練習するしかないと思っています」

 冒頭でも触れたが、村上はここまで大きなケガもなく、チームの早出練習に参加し、全試合に出場。ゲームが終わればベンチ裏で素振りを続けている。前田真吾トレーナーは、村上の丈夫さについて、こう説明してくれた。

「もちろん疲れはあると思います。これは時期的なこともあるので仕方のないことです。まだシーズンは長いですが、このチームは練習量が多く、去年の秋季キャンプ、今年の春季キャンプで相当の数を振ってきました。それが野球をするうえでの体力的な下地となり、練習の積み重ねが体の丈夫さになっているかと思います。村上はまだ19歳で、しかも早生まれですが、もう体ができている。プロとしての体の素材、資質はあると思います。瞬発力など、まだまだ発展途上なところもあり、この先、伸びていく要素は多いです」

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