ヤクルトのタフな偉丈夫は19歳。
村上宗隆の「成長力」が驚異的だ

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 5月27日現在、村上の成績は以下のとおりである。

50試合/打率.238/本塁打12/打点36/三振51/出塁率.340/失策11

 本塁打はリーグ4位タイ、打点はリーグ2位と堂々の成績ではあるが、打率は規定打席到達者のなかで2番目に低く、失策数はリーグワースト。まだまだ課題も多い。

 石井琢朗打撃コーチに、ここまでの村上について聞いてみた。

19歳にして、早くもシーズン2ケタのホームランを打っていますが、現状で満足してほしくないですよね。これは本人にも話しています。覚えることはまだまだありますし、それだけの伸びシロがあるわけですから。『いい4番打者』になるために、脇を固める選手の気持ちがわかるようになってほしい。ここまではそういうことを踏まえて、野球選手としての"幹"を太くしていこうと取り組んでいるところです。

 2年後、3年後、5年後、10年後に生きてくれたらいいとやっています。そういう意味で、僕のなかではまだ評価する段階ではありません。みなさんが高い評価をしてくれていますが、シーズンが終わって、それなりの数字が残っていたら評価をすればいいのであって、僕らとしては、今はそっとしておいてあげてほしいところです」

 今の村上を見ていると、理想的な"育成"としてのシーズンを過ごしていると思う。失敗もたくさんあるが、実戦のなかで着実に経験値を増やしているからだ。宮本慎也ヘッドコーチにそのことについて聞くと、静かな口調でこう話してくれた。

「もちろん、チームの中心選手として一本立ちさせないといけないのですが、バッティングはよくなっているところもありますが、うーん、全体的に見れば......そこの答えというのは非常に難しいですね。はっきり言ってしまえば、(村上の失策が多いため)ピッチャーがかわいそうですよね。ファインプレーしろとは言ってないですし、まずひとつのアウトを確実にとっていこうと。僕らもそう指導していますし、彼自身もそこを感じてほしいですよね」

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