井端弘和が効率の悪い中日打線に喝
「漠然と打席に入るのが一番ダメ」

  • 寺崎江月●取材・文 text by Terasaki Egetsu
  • photo by Kyodo News

井端弘和「イバらの道の野球論」(5)

 与田剛新監督のもと、シーズン開幕から好スタートを切った中日。4月17日には3年ぶりにリーグ2位に浮上し、一時は首位に0.5ゲーム差まで迫ったが・・・・・・そこからジリジリと後退し、5月23日時点で最下位DeNAに0.5ゲームと迫られる5位に甘んじている。

 チーム打率は巨人(.265)に次ぐリーグ2位の.256と好調で、昨季ワーストだった投手陣の防御率(4.36)も改善されつつある。にもかかわらず、なぜ白星が伸びていかないのか。1998年から2013年まで中日でプレーし、現在は解説者として活躍する井端弘和に、苦しむ古巣の現状を分析してもらった。

新キャプテンとして中日を牽引する高橋周平新キャプテンとして中日を牽引する高橋周平

──ここまでの中日の戦いをどのように見ていますか?

「5カード連続負け越しはありましたが、打線が活発で、リリーフ投手陣が安定してきたのは大きいですね。クローザーの鈴木(博志)が少し不安はあるものの、安定感はセ・リーグでトップクラス。相手チームに、『6回までにリードしないといけない』というプレッシャーをかけることができていると思います。

 特に7回と8回に登板することが多い、右投げの(ライデル・)マルティネス、左投げの(ジョエリー・)ロドリゲスの外国人コンビは脅威でしょうね。ゲーム終盤で、155キロ超のボールを投げる左右のピッチャーが出てくるわけですから。ひとりの打者がリリーフ投手と対戦するのは、年間を通して多くても10打席くらいなので、打ち崩すことは簡単ではないでしょう」

──中には、「どちらかの外国人投手をクローザーに据えたほうがいいのでは?」と考えているファンもいるようですが。

「うーん......難しい問題ですね。選手には定位置で出場する"居心地のよさ"みたいなものがあるんですよ。打者にしても、絶好調だから4番で起用したら、途端に打てなくなった、という例がたくさんあります。だから今の中日のリリーフ陣の順番も、安易に変えるのはよくないと思っています。いずれにせよ、最後を締める投手が『あいつに任せれば大丈夫。負けても仕方がない』という信頼を得られるようになるのが理想ですね」

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