大谷翔平と根尾昂に共通点。
中日の打撃投手が見た高卒ドラ1の力

  • 寺崎江月●取材・文 text by Terasaki Egetsu
  • photo by Kyodo News

――大谷選手はさらに成長し、2018年に海を渡ってア・リーグ新人王に輝きました。今年は打者に専念していますが、現在のバッティングをどのように見ていますか?

「私個人の印象ですが、メジャーは日本と違い"動くボール"が主流です。それはバッティングマシーンでは再現できませんから、実戦で慣れていくしかない。完全に対応できるようになるまでにはもう少し時間がかかると思っていましたが、今の打球の上がり具合を見ると、もう心配はないでしょう」

――昨オフに行なったトミー・ジョン手術の影響で、投手として出場するのはまだ先になりそうですが、リハビリを始めるというニュースも伝わってきています。久本さんも現役時代に同じ手術を経験していますが、そこから復活するまでに苦労した点は?

「トミー・ジョン手術をすると、通常は1年間ほどファームか"リハビリ組"で治療に専念し、一軍に上がる準備をします。私の場合は2回手術をして、合計で3年ほど棒に振ってしまいました。過去、私以外にも同じ手術を受けた選手がたくさんいます。その時にもっとも不安になるのは、試合で投げていないブランク。また、チームの雰囲気が掴みにくいことも、同じくらい心配になりますね。

 チームは"生き物"ですから、順位や勝敗、対戦チームとの成績によって、求められるものが大きく変わってくるんですが、これだけはベンチ入りしていないと絶対にわからない部分です。その点、打者として一軍での出場機会を得ている大谷には、そういう心配がないと思います。チームの雰囲気を肌で感じながら、投手としてのリハビリもできてしまうのは"二刀流"の特権ですね。投手陣の調整具合も見られるので、マウンドに上がるのは来季になるかもしれませんが、すぐに溶け込むことができると思いますよ」

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