大谷翔平と根尾昂に共通点。中日の打撃投手が見た高卒ドラ1の力 (2ページ目)

  • 寺崎江月●取材・文 text by Terasaki Egetsu
  • photo by Kyodo News

中日の二軍で成長を目指す根尾中日の二軍で成長を目指す根尾――他チームの打者でタイプが似ている選手は?

「ドラゴンズ時代の福留(孝介・現阪神)さんや、広島の西川(龍馬)あたりでしょうか。前で球をさばく能力が卓越しています。打順としては、走力もあるので1番か3番あたりが向いているかもしれませんね」

――久本さんが現役時代に対戦した高卒ルーキーと比べていかがですか?

「一軍の投手が高卒ルーキーを相手にする機会はあまりないでしょうし、私も現役時代に高卒1年目の選手と対戦したのは、日本ハム時代の大谷(翔平・現エンゼルス)とオリックスの後藤(駿太)ぐらいなので、サンプルは少ないですが・・・・・・。そのふたりも修正能力が高い選手だったので、その点は共通しているように思います」

――大谷選手との初対戦は、久本さんが広島時代の2013年6月18日の試合でしたね。ホームの広島は野村祐輔投手が先発で、久本さんは3番手で7回表に登場し、大谷選手から空振り三振を奪っています。

「ワンアウト1塁の場面でしたね。その日、大谷は先発投手として4回を投げて3失点。打者としては5番を打ち、2回表にヒットを打っていました。実際に対戦すると、構えた時点で高卒ルーキーらしくない風格がすでにありました。

 初球は、ランナーを警戒しつつカーブから入りました。その球を見送った大谷を見て、スライダーで打ち取れるイメージが湧いたんです。経験値の低いバッターにありがちな反応で、左投手と左打者の対戦での"あるある"みたいなものなんですが、完全に腰が引けていたんですよ。キャッチャーも考えは一緒だった思います。想定どおり、追い込んでからのスライダーで三振に打ち取ることができました」

――その約1年後の6月22日、同じマツダスタジアムでの試合でも三振を奪っていますね。

「そうですね。あの時は2番手で4回表から登板して、ツーアウト2塁で3番DHの大谷を迎えたんですが、バッターボックスでの雰囲気がまったく違っていました。『どうすれば1年間でここまで成長するの?』と、マウンドから質問したいぐらいでしたよ」

――具体的に、どのような点に成長が見られたんでしょうか。

「気持ちの余裕と言うんですかね。簡単に腰を引いてしまったような隙はもうありませんでした。『一流打者を相手にする気持ちで投げないといけない』と思い、そこから先は投球に没頭してしまいました。だから、結果は空振り三振でしたけど、その時の組み立てや配球はよく覚えていないんです(苦笑)。

 根尾も同じように成長できるかはわかりません。ただ、大谷のような"令和を代表する選手"になれるだけの才能を備えていることは間違いないと思います」

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