ライバル球団のエース、主力が証言。
丸佳浩を加えた巨人打線の危険度

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 ベンチで戦況を見守るコーチたちはどうか。ヤクルトの衣川篤史バッテリーコーチは次のように語る。

「坂本と丸が引っ付いていることが厄介ですよね。丸が入ったことで、坂本にそこまで厳しくいけなくなってしまった。この前の2試合(4月23、24日)でやられたのも、下位をしっかり抑えられなかったことで、坂本と丸をストレスのかかる状態で迎えてしまいました。それが大量失点に結びついてしまって。

 結局、あのふたりは打率を残せて、長打もあり、走ろうと思えば足も使える。一塁に出たら"各駅停車"じゃない。隙を見せれば動いてきますし、打線が活性化しています。1番だった吉川尚輝が戻ってきた時に打順がどうなるかわかりませんが、大事なのはふたりの前後をしっかり抑えることです。点を失っても1、2点であれば、ウチの打線ならなんとかしてくれますから」

 広島時代から丸を知る石井琢朗打撃コーチの見解はこうだ。

「ざっくり言ってしまえば、丸ひとりが入ったことでチームに厚みが増したかなと。それは"大砲"が加入した感じとは違います。丸が入ったことでベンチに下がる人が出る。それがベンチの厚みになりますし、また前後を打つバッターがすごく生かされているというか、救われているという気がします。

坂本に関しても、これまでは"点"でマークすればよかったのですが、"線"で警戒しないといけなくなっている。去年までは、一発でなければヒットはOKという考えもあったのですが、丸が入ったことで『ヒットで出しちゃうとつながるぞ』と。それが今の巨人打線かなという気がしますね。原(辰徳)監督になって選手の使い方もそうですが、活発に動いている印象があります。まあ、いちばんはそこなんじゃないですかね(笑)」

 どうやら"丸効果"は、想像以上に相手チームに厄介な印象を与えているようである。とはいえ、このまま好き勝手にやられるわけにはいかない。今後、丸が加わった巨人打線をどのように抑えていくのか。5球団の意地に期待したい。

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