2019.05.01

あわや野球人生の終焉から奇跡の復活。
アルバース先生は今日も投げる

  • ブラッド・レフトン●文 text by Brad Lefton
  • photo by Kyodo News

 春が近づくと、エージェントからトライアウトの話があった。そのため、サスカチェワンから車で27時間かけてアリゾナまで出向いた。セントルイス・カーディナルスのトライアウトはキャンセルし、ミルウォーキー・ブルワーズとコロラド・ロッキーズのトライアウトに参加したが手応えは得られなかった。ただ、ミネソタ・ツインズだけは可能性があるかなと思っていたが連絡は来ず、自ら電話をかけてみることにした。

「来ればなんとかなるかもしれない」と言われたアルバースは、少しでもチャンスがあるなら......と、フェニックスからツインズがキャンプを行なっているフロリダ州フォート・マイアーズまで37時間も車を走らせた。

 そして夢を追って計5000キロを運転した甲斐もあり、アルバースはツインズからマイナー契約を勝ち取った。

「野球人生が終わりそうな時にツインズからまだ続けられるチャンスをもらいました。教員の仕事は大好きです。でも、体が続く限りは野球選手としてやっていきたい。教員の仕事は現役が終わったあとに専念する可能性ありますが、野球選手は今しかできないですから。勝負の世界が大好きで、すごい打者相手に自分の力がどれぐらいのものか試してみたいんです。本当にツインズには感謝しています」

 ところで、アルバースがお立ち台に上がった時に着ていたTシャツの「3年B組」にも深い意味がある。「B」を球団名であるバファローズとしてみたら......昨年、入団直後の好投によってシーズン途中に2020年まで契約を交わしたアルバースは、少なくとも3年はバファローズでプレーすることになる。

 今年34歳になるアルバースだが、2008年にパドレスにドラフトされてからこれまで同じチームで3年以上プレーしたことは一度もなかった。

「3年どころか、2年続けて同じチームでプレーしたことがないよ。2008年はパドレス。2009年にトミー・ジョン手術をしたら、まだリハビリが終わっていない時にパドレスを解雇になりました。2010年は独立リーグのケベック・キャピタルズでプレーし、2011年からツインズとマイナー契約を交わして、メジャー昇格した2013年8月までは傘下にいる5チームぐらいでプレーしていました。2014年は韓国のハンファでプレーし、2015年はトロント・ブルージェイズとマイナー契約。2016年は独立リーグでスタートしましたが、シーズンに入ってからまたツインズとマイナー契約を交わしました。2017年はアトランタ・ブレーブスとシアトル・マリナーズの3Aとメジャーを経験。そして2018年に日本に来て、昨年の夏にオリックスから契約を2年延長していただき、ようやくアパートに物を残して帰国することができました。こんなこと人生で初めてです(笑)」