井端弘和が広島の低迷をズバリ分析。タナキクのやっかいさが消えた (2ページ目)

  • 寺崎江月●取材・文 text by Terasaki Egetsu
  • photo by Kyodo News

──控えで気になる選手は?

「今年がプロ入り10年目の堂林翔太です。彼は内外野の複数のポジションを守れるようになりましたから、出番がきたらどん欲にやってもらいたいです。打撃についても、入団当初に『柔らかい』と思っていた手首の使い方が固くなってきているように感じますが、毎年のように打撃フォームを変えるなど、相当もがき苦しんでいることがわかります。2012年にはホームランを14本打っていますけど、プロではまぐれで2桁を打つことはできません。それだけ能力はあるので、あとは確率を上げるだけだと思います」

──投手陣についてはいかがですか?

「先発の(クリス・)ジョンソンが今ひとつなのと、中継ぎの軸を担うはずだった(ヘロニモ・)フランスアが踏ん張り切れないのが痛いですね。抑えの中﨑(翔太)も含め、昨年までの疲労の蓄積があるのかもしれません。打撃陣の調子が上がるまでは辛抱が続くかもしれませんが、アドゥワ誠など若くて力のある投手もいますし、投手陣はあまり心配していません」

──緒方孝市監督の手腕が問われるところでもあると思います。井端さんから見た緒方監督の印象は?

「コーチ時代から、しっかりとした"信念"がある方だという印象がありました。監督就任後も、担当コーチを信頼してある程度のところまで任せ、『全責任は自分が取る』というスタンスを貫いているように感じます。それが際立ったのが昨年の日本シリーズですね。ソフトバンクの捕手、甲斐(拓也)に何度も盗塁を阻まれながら、最後まで仕掛けるのをやめなかった。

 短期決戦の戦い方うんぬんではなく、シーズンを勝ってきた戦術を信じ抜く姿を見せてくれましたね。私は監督の経験がありませんが、同じ立場になったら『盗塁は厳しい』と判断して戦術を変えていたと思います。あの日本シリーズの闘い方についてはさまざまな意見があると思いますけど、あの決断力は誰にもマネできるものではありません」

──井端さんは現役のときに、選手時代の緒方監督と対戦した経験がありますが、芯の強さは変わっていませんか?

「そうですね。当時の広島には、野村(謙二郎)さん、金本(知憲)さん、江藤(智)さんなど錚々たるメンバーがいましたが、その中でも"熱さ"は際立っていました。普段は物静かなのですが、試合になると豹変し、恐怖すら感じるほどでしたね。走攻守のレベルが高く、1番バッターとしてチームをけん引するのに最適の選手でした。監督としても、現在のチーム状況は苦しいですが、ブレずに戦い続けてくれると思います」

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