井端弘和が広島の低迷をズバリ分析。タナキクのやっかいさが消えた

  • 寺崎江月●取材・文 text by Terasaki Egetsu
  • photo by Kyodo News

井端弘和「イバらの道の野球論」(3)

 セ・リーグ4連覇を目指す広島が苦しんでいる。開幕から5カード連続で負け越しを喫するなど、4月17日の時点で5勝12敗の最下位。まだシーズンは長いが、ここまでの出遅れは多くの識者にとっても予想外だったに違いない。

 昨シーズンまで巨人の内野守備・走塁コーチを務め、現在は解説者として活躍する井端弘和氏も、開幕前の順位予想ではセ・リーグの首位と予想していた。そんな井端氏から見た広島低迷の理由と、浮上に必要なこととは。

今シーズンはベンチで渋い表情を浮かべることが多い広島の緒方孝市監督今シーズンはベンチで渋い表情を浮かべることが多い広島の緒方孝市監督──現在、最下位に沈んでいる広島の戦いをどう見ていますか?

「強いときの広島とは逆で、勝負どころでミスやエラーが多い印象があります。昨シーズンまでの広島は、大事な場面でしっかり耐えてプレッシャーをかけ、相手チームのミスを誘って勝つ試合がたくさんありました。巨人もよくやられましたね(苦笑)。また、エラーで負けた試合の翌日に、今度はピッチャーの乱調で負けるといったことも、ここ数年ではあまり見られなかった光景です」

──確かに、現時点での失策数はリーグワーストの21。5位の巨人とも9つ差があります。

「現時点で数字を気にする必要はありません。エラーをしようと思ってする選手はいませんし、むしろエラーを恐れて際どい打球を捕りにいかなくなってしまうほうが、今後のチームにとって大きなマイナスになります」

──チーム立て直しのキーマンを挙げるなら?

「やはり田中広輔と菊池涼介の"タナキク"コンビですね。守備でもそうですが、攻撃でもすごく"やっかいな存在"なんです。2人が塁上にいるとさまざまな仕掛けができるので、相手チームは配球や守備位置などを1球ごとに変えなくてはいけない。それが広島のストロングポイントのひとつですからね。ここまでは特に田中の打撃の調子が悪いですが、しばらく打順は田中が1番、菊地が2番のままでいいと思います」

──それ以降の打順はいかがですか?

「下位については相手投手との相性などで多少の変動はあっても、3番の野間(峻祥)、4番の鈴木(誠也)・・・・・・5番の松山(竜平)も固定でいいんじゃないでしょうか。松山は勝負が決まる一発や、鈴木が打った後に"ダメ押しの一打"が打てるバッターなので、昨年までは私も『嫌だなぁ』と思っていました。彼は超スロースターターなのが玉に瑕ですが(笑)、相手にとっては脅威だと思います。不安視されることがある守備もそこまで悪いイメージはありません。内外野ともそつなくこなしている印象があります」

1 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る