日ハム・白村に送りたい、投手→打者転向の成功者・雄平の言葉 (4ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

「雄平は投手としての実績は僕らよりもあるわけだから、もっと投手心理で考えたらバッターボックスで余裕が持てると思うんですけどね。僕も現役の時は、自分なりにピッチャーの心理状態を考えながらやっていました。それだけで数字は変わってくると思うんです。伸びしろということでは、あの年齢で粗削りな部分だらけですからね(笑)。そういう意味でも、ふたりで『40歳でキャリアハイに持っていこう』と話をしていますし、その可能性を感じさせてくれる選手です。それが雄平らしさで、こじんまりしたらアイツらしさが消えてしまう気もするんだけど、いま言ったように頭の伸びしろというか、まだまだ変わる要素はあると思っています」

 雄平に石井コーチとの話を伝えると、苦笑いしながらこう言った。

「わかっていますが、なかなか難しいんです(笑)。もちろん、投手経験を利用したいんですけど、配球に関しては正解がないので。とにかく狙ったボールが来たときは、練習どおりに自分のポイントで打てるかどうか。そこの精度を高めることを意識しています。これもなかなかできないんですけどね(苦笑)」

 4月7日、朝8時30分。午後1時からのデーゲームのこの日も、雄平は全体練習前に早出のティーバッティングを始めていた。小川淳司監督が雄平の姿を見つけて歩み寄ると、「朝からティーをやりすぎじゃねーか(笑)」と、うれしそうに声をかけていた。

「僕は技術的に足りてないことがたくさんあるので、キャリアハイには(40歳になるぐらいまでの)月日が必要なのかなと。もちろん、今日にでも『これだ!』となればいいですけど、やっぱり地道に一日一日を過ごすことが大事だと思っています。とにかくトライしなければ、同じ結果が続いてしまいます。維持することも悪いことじゃないんですけど、レベルアップすることがひとつの喜びですからね」

 すっかり打者として貫禄がついた雄平だが、気持ちだけはいつまで経っても投手から打者に転向した時と変わらない。雄平は永遠の若手なのかもしれない。

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