オリ平井正史コーチが説く救援論「スタートがよければ1年間持つ」 (3ページ目)

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

「まだまだ、僕はそこまではできていません。調子がよくない投手がいる場合には監督とベンチコーチに報告はしますけど、自分の仕事はあくまで、ブルペンのメンバーを100%、いい状態で保つことかなと。使うのは監督ですからね。それに、リリーフは1年、2年、3年と続けるのが大変なポジション。ですから、昨年によかった数字が今年、来年と続いていくとしたら、ブルペンの層は厚くなるはずです。しかしリリーフという職業は、継続していい結果を出すことが難しくなるという考えが、自分のなかではあります」

 実際、17年に55試合登板の黒木は、昨年、安定感を欠くときもあって39試合。その一方で吉田一将が安定し、澤田の台頭もあり、黒木の不調は目立たなかった。ただ、今年2月のキャンプ序盤、黒木が右ひじ靭帯の炎症で離脱。2年連続50試合以上登板の近藤も、右ひじの張りのために一時は二軍で再調整となった。ブルペンの充実を維持できるか否か、そういう状況で平井は今季の開幕を迎えた。

「リリーフはスタートが大事なので、開幕して1カ月、ちゃんと流れをつくってあげられたら、1年、持つのかなと思ってます。というのは、リリーフのピッチャーはみんなそうなんですけど、たとえば、最初に1イニング投げて1点でも取られちゃうと、防御率が9.00になる。そこから数字を下げていくのは大変で、気分的に嫌ですよね、新聞とかに数字が載るので。逆に10試合、ゼロで抑えた後なら、1点、2点、取られても気分的には楽なんですよね」

 短いイニングを投げるリリーフに特有の、防御率という数字を巡る悲哀――。平井によれば、球界を代表するような"守護神"でさえ、その数字を気にするものだという。

「現役時代の話ですが、ある先輩も防御率のことを言ってました。『開幕してすぐ2点取られちゃったよ。1点台に取り返すのに何イニング投げなあかんねん』って。1イニング投げて2点だったら防御率18.00ですからね(笑)。下手したら20点、30点になることもあるわけで、それはショックでたまらないです。その先輩に限らず、みんな言ってましたね」

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