大瀬良大地、成績向上の秘密。「土踏まずで腕を振る感覚」を得た (3ページ目)

  • 前原淳●文 text by Maehara Jun
  • 西田泰輔●写真 photo by Nishida Taisuke

―― 昨年の飛躍は予感されていましたか。

「一昨年の12月にブルペンで147キロを記録したという話をしてくれました。まだまだ力を温存しているシーズンオフにそれくらい投げることができれば、シーズンではどうなるのか......(活躍は)間違いないと思いましたね。本人に聞いても『今までにない腕の振りだ』と言っていましたから。先程も話したように、もともと強い腕の振りは持っていたんです。ただ、全身の力を使いきれていなかった。それが徐々に、全身を連動させながら力を発揮できるようになり、『下半身で投げている感覚』が芽生えてきたのが、この頃でした」

―― 昨年のシーズン中も進化を続けてきたということですね。

「じつは8月に、右足の母子球の内側にマメができたんです。本人も初めてだと言っていましたが、その箇所にマメができたのは、足と腕が連動した証なんです。黒田さんは『骨盤で(右腕を)連れていく感じ』と表現していましたが、大瀬良さんはさらに進化して、『土踏まずで腕を振る感覚』を体感したのです。本当にすごいことだと思います」

―― 昨年はフォームだけではない、大きな変化があったのですね。

「我々がやっているのはフォーム改造の手助けではありません。技術に関しては、本人やコーチの方がやられることで、我々は選手のカラダの使い方を調整しているだけなんです。基礎があれば、上乗せできる。微調整していけばいいだけですから。だから、大瀬良さんが昨年手に入れた基礎は、一生ものだと思います」

―― 大瀬良投手は、昨シーズン終了後から新たに水泳トレーニングも始めました。

「可動域や柔軟性だけでなく、カラダ全体のつながりがよくなるし、ムチのようにしなやかに使えるようになるのです。始めたばかりの頃は、25メートルでも息を切らしていました。プロ野球選手ですから、心肺機能が低いわけがありません。なのに、なぜ苦しくなるのか。理由は簡単です。理に適っていない動きをしているからなんです。次第に距離は長くなっていったのですが、それは連動性を身につけた証拠でもあります。本人も腕の振りが楽になったと言っていましたが、投球も全身運動なので運動の効率化がパフォーマンスに大きく影響します」

―― 今シーズンも期待できそうですね。

「間違いなく上積みしています。順調にいけば、昨年の成績を上回るでしょう。そういう取り組みをやってきたと思っています」

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