岡林洋一はデストラーデに2被弾。「どうやって抑えればいいんだ!」 (3ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi

――結局、この回は無失点で切り抜けたものの、2回表にはオレステス・デストラーデに先制ホームランを浴びて、先制を許してしまいました。

岡林 スライダーでしたね。そんなに甘いボールではなかったと思うんですけど、簡単に打たれました。マウンドで、「えっ、そんなに簡単に打つの?」と思ったことを覚えています。ストレートが走っていなかったので、変化球主体でいったら簡単に打たれた。「これは困ったぞ」って思いましたけど、次第にストレートの調子が戻ってきて、5回くらいからは本調子に戻っていったような気がします。でも、7回にはまたデストラーデにレフトにホームランを打たれるんですけどね(笑)。

――確かに、7回表にはデストラーデにこの日2発目となる同点弾を打たれています。

岡林 そのときの球はフォークでした。落ちてないかもしれないですけど......。引っかけさせたかったのに、見事にレフトに打たれました。「引っ張ってくれよ」って感じでしたね(笑)。マウンドでは、「もう投げるところがないよ。どうやって抑えればいいんだろう」と考えていました。

――その後、試合は3-3のまま延長戦に突入します。ライオンズベンチは継投策を見せますが、スワローズは岡林さんが続投でした。延長12回を投げ終えて、この時点で161球を投じています。このときの心境は?

岡林 マウンドを降りるなんてことは微塵も考えていなかったですね。逆転されてからの降板ならあるかもしれないけど、まだ同点でしたから。この場面で降板することなんて、シーズン中も一度もありませんでしたから、まだまだ投げるつもりでした。シーズン中でも160球ぐらいはちょくちょく投げていましたからね、あの頃は。

――そして、3-3のまま試合は延長12回裏に。無死1、2塁のチャンスの場面で、岡林さんに代打・角富士夫選手が告げられました。

岡林 いっぱいいっぱいの状態でしたから、さすがに「まだ降りたくない」とは思わなかったです(笑)。あとはベンチから「頼むから点を取ってくれ」と祈るような気持ちで試合を見ていました。

――そして、一死満塁の場面で代打・杉浦享選手が登場。そして、杉浦さんの見事な代打サヨナラ満塁ホームランでチームは勝利。岡林さんは勝利投手となりました。

岡林 打った瞬間、「ホームランだ!」ってわかりました。映像を見てもらえばわかるけど、僕が最初にベンチから飛び出していると思いますよ(笑)。試合後には、先ほども言いましたけど、「セ・リーグ代表として恥ずかしくない試合をした」という安堵感がありましたね。そして、「ストレートが(本調子に)戻れば、もっと抑えられる」という手応えも感じました。

――劇的すぎる勝利で、まずはヤクルトが勝利。チームは幸先のいいスタートを切りましたが、岡林さんにとっては、これはまだまだプロローグにしかすぎない一戦となりました。

岡林 そうですね(笑)。このあと、さらに2回(第4戦と第7戦)も先発して、全部で3完投するとは思ってもいませんでしたからね......。

(後編に続く)

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