秋山翔吾はイチローのプレーを見て思った。「抗っていたんだな」 (2ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • 小池義弘●撮影 photo by Koike Yoshihiro

 でも、需要がない可能性もあるのでね。需要というのは、日本人のパワーヒッターもそう。じゃあ、本当にアベレージヒッターで3割打てたとしても、今のメジャーの野球に合わない選手がメジャーに行くのはどうなのかと思いましたよ。

 だいぶ突っ込んでしゃべっているけど、大丈夫? (メジャーに)行くことが前提みたいにしゃべっている。聞き方が悪いよ(笑)」

"秋山劇場"開幕だ。最後にしっかり落とすところが、さすがである。

 メジャーでは、打者の重要評価指標にOPS(出塁率+長打率)がある。

 秋山は過去2年続けて.933以上残しており、日本ではトップレベルだ。2018年の成績で言えば、出塁率はリーグ4位の.4029、長打率は同じく4位で.534だった。

「(メジャーで)OPSはもちろん重要視されているし、出塁に価値はありますけど、どうなんですかね。ツーアウトからフォアボールで塁に出てほしいわけではなく、ホームランで1点ほしいので。

 向こうは(開幕シリーズの)最初の初回もそうですけど、1イニングを6、7球で終わることをなんとも思っていないじゃないですか。とくにバッティングカウントで、ここは決めて振りにいくというときの振り方って、凡打になろうが空振りになろうが、まったく意に介してないようにも見える。そういうバッティングが打順関係なく行なわれるのでね。

 もちろん(マリナーズの1番)ディー・ゴードンみたいに、パンチもしっかりあったうえで足を使える選手もいるし。そのなかで最低限、スタンドに運べるだけの力はないと、たぶんメジャーの舞台でやるには難しいんじゃないかなと思いました」

 過去2年、秋山は24本塁打以上放っている。しかし、狙って長打を打っているわけではない。

 西武に入団してから数年間は「打率3割・30本塁打タイプの打者」になることを期待され、本人もその方向を目指していた。だが、思うような成績を残せず、安打数を求めるスタイルに切り替えた。そして2015年、イチローを超える年間216安打の新記録を樹立している。

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