自宅にマウンド、平均台でシャドー...。武田翔太の探求心が止まらない (5ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro


 昨年、何百万円の投資をして、武田は自宅にトレーニングルームをつくった。それもただのトレーニングルームじゃない。ミニマウンドがあって、そこでシャドーピッチングをしながら、超高速カメラで撮影して、数秒後にはモニターで再現できるという。

「試合が終わって帰ってから、12時頃からチェックしているんですよ」

 努力をひけらかすような男じゃない。ちょっと照れくさそうに言った。

「野球をやってきて、たぶん今が一番楽しいんじゃないですか。去年は、いつ辞めようか、なんて考えていた時期もあったので......。最近、人に教えられるようになりたいって思うようになってきたんです。教えるということは、自分で理解できていないといけないわけじゃないですか。それもシンプルな理論で、子どもに教えても理解できるような」

 その話を聞いて、武田の高校時代の言葉を思い出した。

「わからないなと思ったことは、調べてみるんです」

 今も、武田の読書家ぶりを知る人は少なくない。時間にして5分程度の立ち話だったが、それだけでも今年はもちろん、さらにその先の武田が楽しみになってきた。

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