「雄星ロス」に追い打ち。主力が離脱のレオ先発陣に救世主は現れるか (2ページ目)

  • 阿佐智●文・写真 text&photo by Asa Satoshi

 オープン戦第2戦として3月3日に行なわれた長崎での先発は、台湾人の郭俊麟(ク・ジュンリン)だった。2015年の来日以来、年々登板数を減らしているが、来日5年目を迎え、日本語での会話もこなせるようになり、コーチからの指導も多くなったという。

 結果を見れば4回2失点(四球1)と数字的には合格点を与えられるものだったが、内容的には物足りないピッチングだった。

 ストレートは常時145キロ前後を記録したが、広島のバッターは振り負けることなく、引っ張った鋭い当たりのファウルを連発していた。おそらく表示された球速ほどストレートのキレがなかったのだろう。

 さらに課題は明白だ。追い込んでからの決め球が決まらない。2ストライクまで有利なカウントで組み立てるのだが、その後の決め球がコントロールできていない。この試合、唯一の四球もカウント2ボール2ストライクから落ちる球が決まらず、最後はストレートが高めに浮いてしまった。

 とはいえ、チームの現状を考慮すると、ローテーション入りしてもらわなければいけない投手であるのは間違いない。

「3ボール2ストライクにしないようにしないと。結果的に四球は1つだったけれど、決め球をきっちり決めることができなかった」

 登板後の囲み取材で郭そう話したように、課題は本人もわかっている。この課題に取り組みながら次回登板ではイニング数を伸ばしていきたいと語っていたが、開幕までに自身もファンも納得のいく内容が欲しいところだ。

 辻監督の方針どおり、週明けのオープン戦には先発候補が次々とマウンドに上がってきた。5日のソフトバンク戦には榎田に代わり一軍に合流した、高橋光成(こうな)が5回2失点。続く6日のソフトバンク戦では今井達也が5回3失点と、ともに"一発回答"。現状では郭を含めた人に先発は任さざるを得ないだろう。

 ここに昨年20試合に先発し、5勝8敗だった十亀剣、前評判の高いドラフト1位ルーキー・松本航、昨年12試合に先発したカスティーヨと新加入のザック・ニールの外国人コンビらがローテーション候補になるだろう。

 それにしてもここまでオープン戦4試合で24失点。リーグ連覇に向けて最大の課題が投手陣にあることは明白だ。打線がいくらよくても、投手陣が失点を繰り返すようでは......。リリーフ陣を見ても、先発が相当頑張らないと上位をうかがうのは難しいのではないか。はたしてライオンズは、この危機的状況を乗り越えることができるのか。そこを乗り越えることができれば、連覇も現実味を帯びてくるだろう。

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