「野球が上達する参考書を探してる」ヤクルト18年目トリオの投球極意 (4ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Kyodo News

寺原 あと、ブルペンは簡単なんですよね。いい球を投げることに関しては。「次、スライダーでストライクいきます」とか。それは試合でも、たとえば不利な状況になっても、ストライクを取れる人が結果的に勝ち星もついて生き残っている。

石川 ブルペンで気持ちよく、いいボールを投げるヤツはファームを含めてたくさんいるからね。でも、いざ試合になると余計な力が入って、普段どおりのことができなくなる。何年やっても、簡単なことのようで難しい。

近藤 僕はブルペンでは気持ちよく投げるだけですよ。中継ぎとして、毎日投げるかもしれないので、次の日に気持ち悪さを残さないことを大事にしています。試合に入ったら割り切らないといけないし、修正する時間というのは、それこそイニングの1球1球のなかなので。

石川 でも、時として経験が邪魔をすることもある。「こうすればああなるだろう」とか、先を読みすぎてしまうというか。そういう意味で、ただがむしゃらに腕を振ることも大事かなと思うよね。

── 今シーズン、石川選手、寺原選手が先発した試合で、そのあとに近藤選手が登板する展開となれば、それは勝ちパターンとなります。

近藤 重みのある場面では、できれば投げたくないです(笑)。

石川 いつもピンチでコンちゃん(近藤)に代わるからね。1点差のノーアウト一、二塁とかで「コンちゃんお願い!」って(笑)。

近藤 ヤクルトに移籍してくるまでは、ピンチの場面で必ずランナーを還してしまっていたので......。先発投手にとっての励みって勝利数が増えていくことじゃないですか。それを壊してはいけないと思っているので。なので、僕自身もピンチの場面で任された時は「お願い、0点で終わってくれ」という気持ちが強いですし、大事にあとにつないでいければというのが僕の願いでもあります。先発投手の勝ちって、本当に大事だと思うので。

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