「野球が上達する参考書を探してる」ヤクルト18年目トリオの投球極意 (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Kyodo News

昨シーズン、74試合に登板して最優秀中継ぎのタイトルを獲得した近藤一樹昨シーズン、74試合に登板して最優秀中継ぎのタイトルを獲得した近藤一樹石川 とくに意識はしてないんでけど、ファミリーって意外と難しいんだよね。結果が伴わないと「ただの仲良しだけの弱いチームじゃん」で終わりだから。僕が入った頃は古田(敦也)さん、(宮本)慎也さん、真中(満)さん、稲葉(篤紀)さんたちがいて、メリハリがすごかった。みんなでワーッと盛り上がったり、ふざけたりもするけど、グラウンドではビシッとする。

近藤 ピリピリする方が多かったら、そんな雰囲気にはならないですよ、絶対に。もちろんピリピリ感も大事なんですけどね。

石川 そういう意味で、昔よりビシッとする感じはないかもしれないけど、慎也さんがヘッドコーチとして戻ってきて、またメリハリの効いた感じになっている。いいチームとはみんなでつくり上げていくもんじゃないかと思っている。

近藤 今は"ゆとり世代"とか"いまどき世代"とか言われますけど、石川さんからは"昭和世代"の香りが全然しないんで、そろそろ出してくれると思います。今後はファミリーじゃないかもしれないです(笑)。

石川 これからはキレキャラになるよ(笑)。とは言っても、どうせならみんなと楽しくやりたいという思いは強い。でも、ここにいるみんながライバルだし、それぞれ生活がかかっているし、その一線は絶対にある。

寺原 そうですね。石川さんは先発を争うライバルですし、若い選手には元気や体力に関しては負けていますが、ベテランはベテランらしく、今までの経験や技術で勝負したいと思っています。

石川 ポジションって与えられるものじゃないからね。そのなかで同じ力であれば若手が使われるだろうけど、まったくチャンスがないとは思っていない。誰ひとり、若いヤツらに負けるつもりはないし、18年目になっても「もっと野球がうまくなりたい」とやっているからね。

近藤 じゃないと、今ここにいませんよね。

石川 いつも野球のうまくなる参考書を探しているけど、売ってない(笑)。なにかヒントが落ちてないかと、バッティング投手のピッチングを見ても考えるしね。打撃練習って、打者は球種がわかっているから、ちょっとでもタイミングをずらされるとフォームが崩れたりする。基本、打者は受け身なので、もっとやりようがあるんじゃないかって......。

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