異色の経歴ソフトバンク高谷裕亮。抑え捕手の役割は「かなり痺れる」 (2ページ目)

  • 寺崎江月●取材・文 text by Terasaki Egetsu
  • photo by Kyodo News

──背番号12についてのこだわりは

「入団契約の際、球団から3つほど候補の番号の提示していただいたんですが、単純にその中で一番若い番号を選びました。知人から、『高校野球の控え捕手みたいな番号だね』」と言われたこともあります(笑)。でも、僕にとってはとても愛着のある番号になっています」

──ホークスに入団後、プロのすごさを実感した出来事はありますか?

「入団してすぐ、同級生でもある馬原孝浩(ホークス→オリックス)のフォークボールを受けた時の衝撃は今でも忘れられません。最初は捕れませんでしたからね(苦笑)。自分と同じ年で、こんなボールが投げられるのかと感心しきりでした。他の投手も、三振を取るための決め球のレベルが高く驚きましたね」

──捕手として大切にしていることは?

「練習や試合の時だけでなく、日常生活から"気づくこと"を意識しています。例えば、『髪型が変わった』、『普段はコーヒーしか飲まないのに、今日はコーラを飲んでいる』とかですね。アンテナを張り巡らすことを習慣づけることで、試合でも『(相手打者が)いつもよりバットを短く持っている』など、さまざまな情報を収集できることにつながっています」

──試合の終盤に起用されることが多いことについて、どう思っていますか?

「かなり痺れます! 負けたら僕の責任だと思ってマスクを被っていますよ。だから、勝ったときはより一層うれしさがこみ上げてきます」

──同じポジションの甲斐選手とは違ったアピールポイントなどは?

「それは気にしたことはありません。仮に、『バッティングは僕のほうが上だ!』と思っていたとしても、起用を決めるのは首脳陣ですから。アピール云々ではなく、自分のベストを尽くすのみです」

──高谷選手にとって、とくに印象深かった試合などはありますか?

「昨年5月13日にホームで行なわれた試合で、日本ハム・西川遥輝選手の盗塁を防いだ場面ですね。それまで彼は15回盗塁を試みてアウトになっておらず、その試合でも初回2死一塁の場面で走ってくる予感がありましたが、『走られるよりもリードが単調にならないように』と注意していました。

 そして打者の中田翔選手に対する3球目、先発の(武田)翔太に3球目カーブを要求したところ、西川選手はカーブを読んでいたのかのようにスタートを切ってきた。翔太のボールはワンバウンドになり、僕の送球もベース手前でバウンドしてしまったんですが、セカンドの(川島)慶三がうまく捕ってくれてアウトになりました。翔太の絶妙なクイックと、慶三の無駄のないタッチに助けられた"三位一体"のプレーでしたね」

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る